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西国三十三ヶ所 四国八十八ヶ所 | 正絹 本金 掛軸表装
霊場とは神仏の霊験あらたかな場所の意で、神社・仏閣などの宗教施設やゆかりの地など、神聖視される場所の事を言います。古くから信仰の対象になっており、現在でもお遍路や修験者などの往来の多いところがあり、全国各地に様々な霊場が存在します。近畿圏に存在する西国三十三観音霊場、四国一体の四国八十八ヶ所(お遍路)などが代表的な霊場です。
霊場を巡り、その場所の印を集めていく集印は昔から人気です。一種のスタンプラリーのようなものですね。帳面や掛軸の台紙に『納経所』という場所で判を押してもらい、その寺院の本尊仏やお寺の名前を揮毫してもらいます。(帳面 300円、掛軸 500円…だったと思います。)
霊場についてより詳しく知りたい方は下記のリンクをどうぞ。
集印についての様子はこちらの動画をどうぞ。
正絹 本金別織 | 最高級の西陣織裂地で 西国三十三ヶ所 納経軸 を掛軸 に 表装
さて、前振りが長くなってしまいましたが本日はそんな霊場巡りで集印をされた掛軸の表装依頼のご紹介です。弊社の取り扱っている裂地の中で間違いなく最高級クラスになる裂地 でのお仕立てコース「皇輝」 での表装です。この皇輝の裂地ですが正式名称は「 金地二重蔓牡丹唐草金襴 (かなじふたえづるぼたんからくさきんらん)」という名物裂の一つを全て本金 正絹で織り込んだものです。
明初形式の二重蔓唐草に大牡丹を置いた金襴の紋様で、地合い全面を本金糸で織り、入子菱の地紋を地に、牡丹唐草紋の輪郭を地色で現し、花や葉や蔓を平織として、視覚的に浮き出るようにしています。特に花弁や葉の輪郭線の肥痩はその視覚的効果を助長しているのが特徴的。金地金襴の場合、紋様の輪郭の部分が地色をあらわし、金糸は地紋の所では地に隠れる為に茶色味を帯び、金糸の輝きは少ないですが、それに反して紋様部分では金糸は横に長くあらわれ、金糸の輝きが著しく、地紋から浮かび上がって見えるのが大変美しく古来より大変重宝されてきました。本金襴の中でも現代の最高水準の技術と材質で織られた最高級の裂地です。
最近では着物などの需要の激減により裂地を織る業者の数も大幅に減少しています。また原材料価格の高騰が拍車をかけ、この裂地の価格はどんどん値上がりしている状況です。(本当に裂地屋に在庫がなくなったので発注する度に価格が上がっている状況です。)ただでさえ高価な裂地なのですが、値上がりに歯止めが利かずさらに高騰する為、全国の表具屋でもだんだんとこのクラスの裂地の在庫を置いているお店が少なくなってきました。
今回はお客様がどうしてもこの裂地を気に入られて、この裂地で自分の西国三十三ヶ所を軸装して欲しいという希望でしたので弊社の方で裂地屋と交渉させていただき特別に織って頂いた物で軸装させて頂きました。価格はもちろん安くはありませんがお客様も思い入れのある掛軸なので、この裂地での表装の希望が叶いとても満足されていました。
まばゆいばかりの本金の輝きが作品の荘厳さを最大限に引き立てています。
中の墨の観音と集印の墨が裂地の金により引き立てられ、浮かび上がってくるようです。
納品
お客様の所に納品に伺い、お床に飾らせて頂きました。
床飾りの置物にも観音様が・・・偶然でしょうかね・・・(笑)。
床の間に飾ると荘厳な雰囲気がより一層増し、観音の妙智力のような凛とした空気感を感じ取ることさえ出来ました。お客様も掛軸の出来栄えに大変ご満足されておられ、正月には親戚も集まるのでお披露目会をされるそうです。喜んでいただけて嬉しく思います。
最高級の稀少な 正絹 本金 別織の裂地での表装依頼は是非弊社までお問い合わせください。
西国三十三ヶ所の納経軸を掛軸に表装する工程はこちらの動画で詳しくご紹介しておりますのでよろしかったらご覧ください。