川人勝延のモチーフの多くは自然のものに由来する。彼は「自然と自分の関係は『乞はんに従う』という言葉で表現される」と言う。これは自然自身が自分の描き方を川人勝延に要求してくるといった感覚らしく、自然が人間に要求するという感じ方に日本人独特の自然観がみられる。自然が人間と対立し克服すべき対象となるのではなく、自然の中にとけこみ、自然に従いながら絵を描こうとする意味である。
これらの桔梗の描写も自然の要求に従って川人勝延によって描かれたのだろう。亀谷鶴嶂によって添えられた詩が作品に味わい深さを加えている。