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父から引き継いだ掛軸の修復依頼をアメリカから

相続したタイミングで掛軸修理
掛軸の修復依頼で多いのは、ご家族が大切にされてきた掛軸をご自身が引き継がれたタイミングで、「一度きれいに修理して、これからも安心して保管・鑑賞できる状態にしたい」というご相談です。
こうしたご相談は日本国内のお客様に限らず、海外のお客様からも多く頂戴しております。
今回は、そのようなケースとして、アメリカのお客様から掛軸の修理をご依頼いただいたエピソードをご紹介します。
父が大切にしていた虎の掛軸
今回、ご相談いただいた掛軸がこちらです。力強く岩場でポーズをとる虎が描かれた作品です。

こちらの掛軸は1957年からお客様のご自宅にあったそうです。
当時、ご家族で神奈川県に住まわれていたお客様は、お父様がコレクターのもとを訪ねた際にこの掛軸と出会い、一目で気に入って譲り受けたと伺いました。
そして2022年に正式に掛軸を相続され、「この先も大切に守っていくために、一度しっかり修理したい」ということで、今回のご相談に至りました。
修理の打ち合わせ
作品にはシミ汚れが多く見受けられたため、今回は洗浄に加えて、可能な範囲でシミ抜きも行う方針といたしました。

裂地については複数の候補をご提案し、その中から下記の裂地の組み合わせで仕立替を進めることになりました。

また、オプションとして一文字落としと桐箱もお選びいただきました。
※一文字落としとは、掛軸の本紙(絵や書の部分)の周囲を「一文字」と呼ばれる裂地で縁取る仕立ての形式で、作品の格調を高め、全体の印象を引き締める効果があります。
修理の工程
今回の修理は、以下の流れで作業を進めました。
1. 作品解体
現在の掛軸から古い裂地や軸棒を取り外します。本紙に負担をかけないよう、慎重に解体していきます。2. 旧裏打紙の除去
掛軸の裏側にある古い裏打ち紙を取り除く作業を行いました。3. 作品洗浄・シミ抜き
汚れを落とすための洗浄を行い、状態を見極めながら可能な範囲でシミ抜きを施します。4. 再表具
お客様にお選びいただいた裂地を用いて、新しい掛軸として仕立て直します。今回はオプションの一文字落としも行いました。
修理完了
こちらが修理が完了した掛軸です。
折れジワや汚れが改善され、虎がいきいきとよみがえったような印象になりました。
お客様からは「まるで長い間会っていなかった親戚を恋しく思うように、この作品を恋しく感じていました」というお言葉もいただき、修理完了を大変お喜びいただきました。
総括
ご家族が大切にされてきた掛軸を引き継がれ、「この機会に修理して良い状態で残していきたい」とお考えの方は多くいらっしゃいます。
弊社では今回の記事のように、掛軸の修理・仕立替を丁寧に承っております。状態確認や方針のご相談から進められますので、どうぞお気軽にご相談くださいませ。
