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掛軸の表装修理 仕立替: 松上鶴 | 加西市
弊社は様々な場所で掛軸の展示会や表装に関する相談会などのイベントを行なっております。今回はそんなイベントで兵庫県の 加西市 にお住いのお客様から古い掛軸の修理のご相談を承りました。
家で長い間使用されてきた双鶴の掛軸ですが糊が浮いてきてしまった為、作品が旧裏打紙から剥がれてシワになってしまっています。
下の部分も前回の裏打の糊の粘着力が弱まってきている為、剥がれてきてしまっています。
幸いにもこの浮き以外、特に大きな汚れや傷みは見当たらなかったので費用を抑える事が出来、お客様も喜んでくださいました。
最近では掛軸などの仕立てや修理を行ってくれる表具屋さんが少なくなってきているのでお客様も
「気軽に相談が出来る存在があって助かる。」
と言って下さり、仕事を請け負う弊社としても大変嬉しく思っております。
表装オペレーション
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。今回は作品自体に汚れやシミがなかったので洗浄、シミ抜は行わずに仕立替いたしました。
作品解体 (古い裂地や軸棒などを取り外していきます。)
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旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくる」という作業)
↓
再表具
前回の表装に使用されていた表具糊が随分と弱まっていたので旧裏打紙を除去するのはそれほど苦労せずに行えました。日本の表具は後々に仕立替をする事を前提としている為、通常はそれほど強い糊を用いませんのできちんと前回の表具師からのバトンを受け継いだ気分です。仕立替を行なった掛軸はこちらです。
浮きによるシワもなくなり作品が甦りました。
加西市 へ納品
弊社はお客様のご都合の良い場所にどこでも納品にお伺いいたします。今回はお客様の職場である学校の方にお届けさせていただきました。最近は学校の先生も夜遅くまでお仕事されていたり出張が多かったりと帰宅時間が遅い方も多いようで学校に直接お届けさせていただく方が都合が良い場合もあるようです。
仕上がりにご満足いただけました。なんでもお客様のお爺様が購入されたものらしく恐らく明治時代の物だそうです。歴史ある作品がまたこうして仕立替をされて飾って頂けるのは表具師として本当に嬉しい限りです。修理のご依頼ありがとうございました。
弊社は古い掛軸や屏風、衝立、欄間額などの表装修理を承っております。加西市 でお困りの際は出張相談も承っておりますので是非ご相談下さい。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。