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掛軸の表装修理依頼: 折れジワ | 相生市 | 聖徳太子
聖徳太子
聖徳太子は飛鳥時代の皇族・政治家。仏教を取り入れ神道とともに厚く信仰し興隆につとめたとされており、日本各地には聖徳太子が仏教を広める為に建てたとされる寺院が数多くあります。
兵庫県太子町にある斑鳩寺もその一つ。聖徳太子が推古天皇に法華経を講義した褒美として播磨国の土地を与えられ、その縁で建立したとされています。室町時代後期には戦禍を受け灰燼に帰しますが後に、播磨を地盤とする赤松氏等により徐々に復興されていったとされており、西播磨地方にも太子信仰が根付いていた事を感じる事が出来ます。
今回は西播地方に属する相生市にお住いのお客様より聖徳太子の掛軸修理依頼です。
聖徳太子の掛軸の修理は
1. 浄土真宗の寺院
2. 大工
3. 一般のお客様
からご依頼を受ける事が多いのですが今回は3の一般の方からでした。何故ご自宅にあったのかは不明でした。ご先祖様の持ち物だったらしいのですが、表装の裂地に浄土真宗東本願寺派の紋である東六条八つ藤が織られている事から何らかの形で寺院様と関わりがあって手元にあるのかもしれませんね。ご依頼いただいたのはこちらの掛軸です。
聖徳太子の体の部分に随分と折れジワが発生していますね。このままの状態を放置しているとこの折れから本紙が裂けていってしまいます。
下部にも酷い折れジワが発生しています。少し分かりづらいですが赤の表装裂地に八藤の紋が織られています。(地の右下の部分も破れてしまっていますね。)
聖徳太子 掛軸 表装修理
今回は以前の表装の裂地の柄と同じく外回しに蓮華、中廻しに八藤の裂地を用いて本仏仕立(真の行)にて掛軸表装を行う事といたしました。折れがひどかった部分には肌裏打の後ろから折れ伏せを入れて補強しました。折れ伏せについてはこちらの動画をご参照下さい。
修理を終えた掛軸がこちらです。
掛軸の折れジワは仕立替をすれば随分と回復します。酷い折れの場合は折れ伏せを肌裏の後に裏から入れて補強します。
掛軸の折れシワは修理、仕立替のサインです。傷みがひどくなる前にお早めにご相談下さい。弊社は遠方でもお伺いさせていただきますので相生市にお住いのお客様でお困りの際は是非弊社まで。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。