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掛軸の修理表装依頼: 浮き | 太子町 | 遠藤成象
遠藤成象は昭和時代に活躍した日本画家。主に山水画を得意とする作家で弊社でも昔に数点お取り扱いさせていただいた事のある作家です。
今回は兵庫県の 太子町 のお客様よりこの遠藤成象の水墨山水掛軸の修理依頼を承りました。
揖保郡 太子町
太子町の『太子』は聖徳太子の太子。その昔、聖徳太子が推古天皇に法華経を講義した褒美として播磨国の水田100町を与えられ、そこに斑鳩寺を建立した事からゆかりの町としてその名前が選ばれたそうです。
今回お客様からご相談いただいた掛軸がこちらです。
大自然の中で人間の普段の営みが描かれている味わい深い作品ですね。こういった自然と人間の対比が山水画を楽しむ醍醐味と言えます。
作品自体はそれほど傷んではいないのですが、糊の粘着性が弱まり作品の絵絹が浮いてきています。(作品が裏打紙から剥離してきている状態を「浮いている」と表具の世界では表現します。)
掛軸の中廻しの下の部分にも汚れが付着してしまっています。ちょっと目立ちますね。
掛軸は50年から100年ほどの周期で仕立替をして受け継いでいくものですが、仕立替のタイミングの一つの目安として浮きが掛軸の表や裏に出始めたら糊が弱まってきた証なので仕立替をご検討ください。
修理後: 遠藤成象 水墨山水 掛軸 表装
掛軸を解体し、古い裏打紙をすべて除去し、新たに和紙で裏打をし掛軸に再表具いたしました。作品に発生していた浮きも無くなりきれいになりました。仕立替の前後を見比べてみるとよくわかります。
作品自体には損傷が無かったので、早めに修理・仕立替をする事で再び飾って楽しめるようになりました。
掛軸に浮きが出てきはじめたら修理の目安です。お持ちの掛軸を長持ちさせる為に一度浮きが発生していないかチェックしてみてください。
弊社は遠方のお客様へも出張相談を承っております。掛軸の表装修理のご相談は是非弊社まで。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。