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掛軸修理 | 上郡町 | 長安義信 猛虎
法橋 長安義信 (周得)・朝廷に認められた赤穂の絵師
長安義信 (周得)は天明8年(1788)に兵庫県赤穂市で生まれる。大坂の画家・佐野龍雲から絵の手ほどきを受け、京都、奈良などで古画を学ぶ。作風は優美かつ精緻。躍動的な筆使いが特徴で、40歳で朝廷から「法橋」の位階を授かり、帰穂する。
故郷へ戻ってからは花岳寺門前に居を構え、この頃から「周得」という号を使い始める。赤穂藩から客分として処遇され、81歳(1868年)で没するまで赤穂、岡山などで多数の作品を残した。(赤穂の花岳寺の虎の天井画は代表作)2009年、2017年には長安義信の偉業を辿る展覧会が赤穂にて行われ多くの来場者で賑わいました。
『法橋』(ほっきょう、ほうきょう)について
日本の僧位の一つ。中世・近世,僧侶に準じて仏師・絵師・連歌師・医師などに与えられた称号。絵師の中では、御用絵師だけでなく民間絵師も叙任されたが、その手続きは面倒であった。門跡寺院を窓口としてしかるべき旗本などの名義を借り師匠などに保証人を頼んだ上で町奉行に願書を提出し許可を得た後、寺院に再度申請を差し出し評定にかけられ武家伝奏を介して叙任の宣旨が下された。
兵庫県上郡町のお客様より 長安義信 の掛軸修理
今回はそんな長安義信の掛軸の修理のご依頼を 上郡 にお住いのお客様からお受けいたしました。上郡町 は赤穂の上に位置する地域なのでこのエリアには長安義信の作品をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
今回は虎の掛軸をお預かりしたのですが…
なんとこの虎…
後ろ向きなんです:(;゙゚’ω゚’):
なんとも珍しい虎の構図ですね。今まで色々な虎の掛軸を見てきましたが後ろ向きの虎は初めてです。
長安義信 の匠な画面構成力で今にも獲物に跳びかかりそうな緊張感のある虎の様子が表現されていますね。墨の濃淡で表現された毛並や肉感は本当に見事です。素晴らしい逸品で一目で私も気に入ってしまいました。
掛軸は全体的にシワや折れが発生し始めているので表装の仕立替のタイミングとしては大事に至る前で丁度良かったです。紙表装なのでもう少し作品をひきたてる裂地にて表装し直すことにいたしました。仕上がりはこちらです。
仕立替の前のイメージを壊しすぎないようにしながら全体的に重厚味を加えられるような裂地の選定にいたしました。
お客様から
『以前の紙表装の色合いが自宅の床の間の壁色とよくマッチしていたので色合いは似たような雰囲気の上位変換でお願いします。』
とのリクエストがあったのでこの組み合わせにいたしましたがお客様にも大変気に入っていただけました。お客様には昔から家にいるペットのような存在のようで、また床の間で楽しんでいただけそうです。
この度は弊社に掛軸の修理・仕立替をご依頼いただきありがとうございました。
弊社は遠方のご自宅にでも出張対応いたします。上郡町で掛軸や額、屏風や衝立、巻物などの修理や表装のご相談は是非弊社までご相談下さい。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。