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古い欄間額 の修理依頼 (シミ抜き) | 南あわじ市
飾りっぱなしの 古い欄間額 は危ない!
日本の和室には欄間という部分があり、そこに飾られる横長の額を俗に『欄間額』と言います。
昔はよく書画の描かれた欄間額が飾られていました。最近では和室が減少している為か新たに求められる方も少なくなりましたが昔から飾られている 古い欄間額 を修理してほしいというご相談が最近は増えています。
昔の欄間額は今の額装と違い、額の表面にアクリルガラスなどが取り付けられていないので作品が外気に剥き出しの状態で飾られている事がほとんどです。この外気とダイレクトに作品が接している状態というのは外気の様々な影響をモロに受ける為、作品にシミ、焼け、劣化が発生する原因となってしまいます。お客様が気がついた時に、まだ修復可能なうちに適切な処置を行い、アクリルガラスのカバーをつけた欄間額に仕立替をする事を弊社では強くお勧めしております。せっかくの美術品を大切に末永く飾れるようにしましょう。
南あわじ市のお客様より古い 欄間額の修理 依頼
今回はそんな 古い欄間額 の修理依頼を南あわじ市にお住まいのお客様より頂戴いたしましたので早速ご自宅にお伺いさせていただきました。
実際に飾られていた欄間額がこちらです。
絹本に書かれた書道作品でご先祖様がいただいた物らしく、大切に飾ってきたそうですが作品には汚れや焼けが見受けられます。額を外して裏を見てみると長年の埃がたまっておりました。額は飾ってしまうとついつい掃除などをするのを忘れてしまうものなので埃がたまりやすいので普段から気をつけてください。
改めて作品を見てみると焼けやシミが全体的に発生していますね。作品を触ってみるとかなり脆くなっている危険な状態でした。絹本は紙本と違い破れというよりは裂けるといった症状が発生する為、ぱっと見では面一に繋がっているように見えても旧裏打ち紙をめくってみると実は作品が裂けて破れていたという事がよくあるので注意が必要です。
作品下部に発生している変色はもはやシミなのかどうかすらわからない状態です。かなり酷くもしかしたらこの汚れはシミ抜きでは落ちきらないかもしれない恐れがあるのでその際は仕立替の際にカットする事をお客様に了解いただきました。(シミ抜きの薬剤に本紙が耐えられない場合は、シミ抜きの続行を中止するように弊社ではしております。)
作品左側にも色やけによる変色が多く見られます。
表装オペレーション
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
作品解体 ( 古い欄間額 から作品を切り取ります。)
↓
旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくる」という作業)
↓
作品洗浄 (汚れ落とし)
↓
シミ抜き (洗浄では落ちないシミの除去)
↓
額用の裂地選定
(今回は弊社に一任してくださいました。)
↓
新しい欄間額に表具
仕立替完了
洗浄・シミ抜きを行ったので全体的に汚れが随分と落ち、字が浮き立ってくるように綺麗になりました。残念ながら作品下部の変色は落ちず、これ以上行うと作品に影響がありそうだと判断した為、カットして除去する事にいたしました。
色やけによるムラが無くなり字に焦点がいくようになりました。
印の周りの汚れも落ちたのではっきりと印が読み取れるようになりました。
新たに仕立替された作品をお客様のご自宅に納品すると
「おぉ! 見違えるように綺麗になりましたねぇ!! 変わるもんですねぇ~!」
と大変喜んでいただきました。
古い欄間額 はなるべく早いうちに修理、仕立替をされる事をお勧めいたします。
弊社は遠方のお客様の元にも出張相談を承っておりますので 古い欄間額 でお困りの方は遠慮無しにご相談下さい。
宜しくお願いいたします。
掛軸のシミ抜き作業についてより詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください。
欄間額の取付、飾り方に関しては下の動画をご参照ください。
額装の仕立てに関してより詳しく以下の動画で解説しておりますので宜しかったらご覧ください。
和額の種類についてはこちらの動画で解説しておりますのでよろしかったらご覧ください。