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朝来市 | 双鶴の掛軸修理(虫食い・穴あき)のご相談
私はまだ竹田城の雲海を見に行ったことはないのでいつか行ってみたいと思っています。(朝とても早く行かなければならないのでしっかりと計画を立てて臨まなければなりません。)
今回はそんな朝来市にお住まいのお客様から掛軸修理のご相談を承りました。今回お預かりした掛け軸はこちらです。
夫婦の鶴が仲睦まじく描かれている作品です。作品自体にはそこまでの損傷はないのですが、表装の裂地の部分が虫に食われてしまっています。
虫食いというと小さな穴を想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、掛軸は紙や絹、糊など虫が好む材料で作られていることもあり、ひどいものは巻いて収納している掛軸を貫通してしまうほどの虫食いを見た事もあります。
作品が虫食いの被害を受けていないのであるならば新しく仕立替をするだけで綺麗になるので比較的安価に費用を抑えられるのですが、作品に損傷が発生してしまっている場合はどうしてもその部分のみ仕立替をすると新しい裏打紙が穴から見えるような状態となり、不自然となってしまう為、お客様のご要望に応じて補彩を行うように弊社ではしています。しかし補彩は費用の面でどうしてもUPしてしまうのでなるべくなら補彩しないで良いように虫食いが起こらないような保管の仕方を心がける事が大切ですね。
今回のお客様は補彩なしのギリギリセーフの状態でしたので、新しい裂地をどうするかの話に焦点が絞れました。現状はコントラストの強い紺色の裂地で表装していましたがお客様とご相談させていただいた結果、せっかくのお祝いの掛軸なので明るいイメージになるような裂地にしてほしいという要望でしたので明るい裂地を選定いたしました。
新しく表装しなおした掛軸がこちらです。
作品の地色に近い色合いの裂地を使用しましたので作品に広がりを感じる事が出来るようになったのがわかります。夫婦の鶴がくつろいでいる様子が鑑者にも伝わってくるようです。表装の裂地の色や柄というのは作品の印象を一気に変える力を持っているのでセンスが必要ですね。
弊社は遠方のお客様のご自宅にもお伺いして掛軸修理を承っております。虫食いなどで傷んでしまった掛軸の修理のご相談はぜひ弊社までお問い合わせください。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。