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ご先祖様 が大切にしていた掛軸の修理 | 高砂市
掛軸はおよそ100年の周期で仕立て替えをして後世に受け継いでいくものです。明治〜昭和初期に仕立てられた掛軸はそろそろ仕立替の時期に来ていると言えるでしょう。弊社にもお客様からよく『 ご先祖様 が大切にしていた掛軸を受け継いだのですが傷んでいるので修理して欲しい』というご相談を頂戴します。
今回ご相談いただいたお客様もご先祖様が大切にされていた多くの掛軸にどれも傷みが発生している為、修理をお願いしたいというご要望でしたので早速お客様が住んでいらっしゃる兵庫県高砂市にお伺い致しました。
ご自宅にご訪問し、早速お話をお伺いすると押入れの奥から非常に多くの掛軸が…。どれも傷みが激しく早めの修理が必要な掛軸でした。
ご先祖様 の掛軸 修理品
今回はこの中でも特に傷みが激しかった4点の掛軸を先に修理する事になりました。どれも傷みが激しく折れや欠損が生じています。このままでは飾る事も出来ない状態の物がほとんどでした。修理に際しても作品がとても脆くなってしまっているので非常にデリケートに扱わなければなりません。(特に鶴の掛軸の傷みが激しい・・・!!)
通常の仕立替の方法では旧裏打紙を除去する事が困難なので特殊な方法で作業を進めさせていただきました。
三行書
六字名号
二行書
双鶴図
鶴の掛軸は特に傷みが激しかったので肌裏打を行った後に、裏から「折れ伏せ」という補強を行いました。傷みが激しいので折れ伏せの数も多くなり大変な作業となります。
修復作業に関する紹介はこちらをどうぞ。
修理完了
しっかりと欠損した部分の補彩も行いましたので見違えるように綺麗になりました。修復前後の写真を見比べてみると違いが一目瞭然です。
三行書
六字名号
二行書
双鶴図
納品
右の鶴の掛軸が今回修理させていただいた掛軸です。汚れが酷くて日の出も鶴も見えずボロボロの穴だらけになっていたのが綺麗に修理されて大変喜んで頂けました。今回はお正月にどうしても飾られたいというご希望でしたのでなんとか納期を間に合わせお届け出来たので何よりです。お客様も喜んで下さいました。(記事の投稿が遅れておりまして申し訳ございません…(^_^;))
お客様の床の間は天井が少し低い構造になっているので掛軸の総丈を少し通常よりも短めに調整してどれもお仕立てさせていただきました。
お仕事にご満足いただけ、次の修理の掛軸も2点お預かりさせていただきました。
今度の掛軸もまた傷みが激しい…(^_^;)
絹本に描かれた作品ですが激しい折れが発生してしまっており、絹本の部分が裂けてしまっています。
こちらの掛軸の修理のご報告はまた後日。
今回は弊社に掛軸の修理のご依頼をいただきましてありがとうございました。
ご先祖様から受け継いだ古い掛軸の修理のご相談は是非弊社まで。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。
掛軸のシミ抜きについてより詳しくご覧になられたい方はこちらの動画にてその工程をご説明させていただいておりますのでよろしかったらご覧ください。