ボロボロの掛軸修復依頼 | 東大阪

東大阪 はその名の通り大阪の東部に位置する中核市。花園ラグビー場がある事からラグビーの町としても有名ですね。(確かラグビーボールの形を連想させるのでカレーパンを名物品として売り出そうとしているとテレビで拝見した事がありました。参考記事はこちら。)

他にもモノづくりを担う技術力の高い企業が集積している事でも有名です。何を隠そう私も前職はこちらに本社を置かれるモノづくりを支える企業に勤めており、こちらに短期間ですが住んでいた事があるので思い出深い地域です。(まだ社会人1年目の前半を過ごした土地です。)

 

東大阪 にお住いのお客様よりメールにて掛軸の修理相談

今回はそんな 東大阪 に住まわれていらっしゃる方でボロボロの傷んだ掛軸の修復を検討されている方からHPよりご相談を頂戴いたしました。(あまり東大阪には掛軸の表装を頼める所がないのかもしれませんね。)

ご相談を頂戴いたしましたのがこちらの掛軸です。

東大阪 掛軸 修理 表装

 

こ、これは…(汗)

正直表具をやる人間としては

「げっ!きっつ~」

というのが正直なくらいの傷み具合でした。触るのも怖いくらいパラパラな状態ですね。

相当傷みが進行し無数の折れやシワ、さらにはそれらが進行してしまい作品の裂けが発生し、文字の一部が欠損してしまっている状態が確認出来ました。難易度の高い非常に時間と手間のかかるレベルの状態ですが、このまま放置しておくと状態はさらに悪化し修復不可能な状態になります。

作業としてですが、旧裏打紙を除去し新しい和紙にて裏打を行うのですが作品が裂けてしまっている部分や欠損している部分は新しい裏打紙の白色が見える形となりますので不自然な状態となります。恐らくこれだけ傷んでいる状態の作品なので旧裏打紙を除去している際にも作品の欠損は多少広がる事が予想されます。それらを自然な形で色を入れ、調整する事を補彩(ほさい)と言いますが、文字の欠けや地色の欠損などを考慮すると必要な作業となってきます。

また、作品に発生している無数の折れの部分は紙の繊維が脆くなってしまっている部分ですので裏打の後ろから補強する作業(折れ伏せ)が必要となってきます。

 

補彩参考動画

 

折れ伏せ参考動画

 

上記の状況と修復方針、お見積り、修復の限界とリスクについてお客様にもご納得いただいた上で作業を開始する事となりました。

 

表装仕立替、修復作業

正直あのボロボロの状態から考えるとよく欠落せずに残った方だと思います。普通はこれくらいの作品の劣化状態だと旧裏打紙を除去する際に旧裏打紙に作品がひっついて剥がれてしまったりなど作品の欠落が広がる事が多いです。

 

表装仕立替、修復作業完了

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修復作業が完了し、見違えるような仕上がりになりました。

全ての修復作業の中で、おそらく補彩が最も時間がかかったと思います。色を合わせる作業が本当に時間がかかりますし、筆に含む水加減や使う画材や墨などにも配慮をしなければならないのでとにかく時間がかかります。

他の作業も通常の仕立替の数倍の時間と労力を要しました。傷んでいる物の旧裏打紙を除去する際は少しずつ弱い力で作品の状態を確認しながら剥離していかなければならいないですし、折れ伏せはそれを行う箇所が多くなればなるほど気の遠くなる作業となります。

修復作業は集中力をキープするのが本当に大変です。数時間かけて少しずつ少しずつ作業を進めていく気の遠くなる作業との闘いですね。

 

東大阪 のお客様から

早速お送りさせていただき、喜びのメッセージを頂戴する事が出来ました。以下、個人情報などを伏せた内容ですがご紹介させていただきます。

いつもお世話になりまして有難うございます。

昨夜、自宅に掛軸が到着しました。

見違えるほど美しく修復されており、一字一字の線が秀麗で文字の意味が際立ってくるように感じました。

大変な困難があったことと思います。ありがとうございます。

これは昭和中期のころ、苦難に遭い困っていた○○(地名)の方を励ますために届けられた掛軸です。

受け取られたその方は、その後他人様を助けることに奉職されていきました。

私は■■■(地名)の方からこれを受け継ぐ3人目になるのですが、掛軸はお二人の難行を辿ってきたそのものの形になっていたように思います。修復のために写真撮影するとき、かろうじてつながっていたところから千切れてしまいました。

野村様のお蔭で美しく修復された掛軸を、大切に役立てていきたいと思っております。

有難うございました。

 

弊社スタッフ一同、大変励みになるありがたいご丁寧な激励文を頂戴し嬉しい限りです。掛軸修理に困ってらっしゃる方にお役に立てて何よりです。

この度は弊社をご利用くださり誠にありがとうございました。

 

弊社ではメールを通じての掛軸修理のご相談にも対応しておりますのでお気軽にご相談ください。

掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。

 

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CEO Message

あなたと掛軸との懸け橋になりたい


掛軸は主人が来客に対して季節や行事などに応じて最も相応しいものを飾り、おもてなしをする為の道具です。ゲストは飾られている掛軸を見て主人のおもてなしの気持ちを察して心を動かす。決して直接的な言葉や趣向ではなく、日本人らしく静かにさりげなく相手に対しておもてなしのメッセージをおくり、心をかよわせる日本の伝統文化です。

その場に最もふさわしい芸術品を飾り、凛とした空間をつくりあげる事に美を見出す・・・この独特な文化は世界でも日本だけです。

日本人が誇るべき美意識が詰まった掛軸の文化をこれからも後世に伝えていきたいと我々は考えています。



代表取締役社長
野村 辰二

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会社概要

会社概要

商号
株式会社野村美術
代表取締役
野村辰二
本社
〒655-0021
兵庫県神戸市垂水区馬場通7-23
TEL
078-709-6688
FAX
078-705-0172
創業
1973年
設立
1992年
資本金
1,000万円

事業内容

  • 掛軸製造全国卸販売
  • 日本画・洋画・各種額縁の全国販売
  • 掛軸表装・額装の全国対応
  • 芸術家の育成と、それに伴うマネージメント
  • 宣伝広告業務
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