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四国八十八ヶ所の納経額で「 巡り忘れ 」のトラブル
霊場集印の表装、例えば西国三十三ヶ所や四国八十八ヶ所の軸装や額装を依頼される際に、最近ちょこちょこ発生するトラブルが 巡り忘れ です。
霊場集印は基本的には台紙に書かれている寺院に行って集印をもらいます。集印の様子を知りたい方は下の動画をどうぞ。
この集印を巡り忘れてしまう事がたまにあるのです。
今回もそういったお客様からのご相談でした。場所は兵庫県加古郡稲美町。さっそくお伺いしてみました。
四国八十八ヶ所の霊場集印の 巡り忘れ
ご相談いただいたのは四国八十八ヶ所(お遍路さん)の納経額の台紙。母親が途中まで巡っていたのですが高齢になり、娘さんであるお客様が途中から巡ったそうなのですが一番左下の部分に注目してください。明らかに集印がされていない状態です。そう、「 巡り忘れ 」です。
この「 巡り忘れ 」はどうして起こるのでしょうか?
通常は集印の台紙に「どこで集印をもらわなければならない」という行先が印字されており、それに従って霊場集印をしていくルールなのですがたま~に台紙に何も印字されていない場合があります。(上の写真のように)
これは様々な要因があると思いますが大体は次の2点が主な要因だと思います。
01、通常の霊場以外に番外と呼ばれる複数の札所を持つ霊場があり、その複数の札所から自由に参拝者が選んで集印出来るようにする為にわざと空けている場合。
02、単純に集印の台紙を作成する際に、88では綺麗な見た目にならない為、バランスをとる為に最後空白にして「自由に巡ってください。」という形にした場合。
上の写真の台紙はおそらく02の理由ではないかな~と思います。正式には霊場ではないですがよく番外として巡られる高野山も台紙には含まれているので、調整が上手くいかず最後苦し紛れに空白にしたのではないかな~と思います。(違っていたらすいません。)これを今回のように途中で引き継いだ人があまりそういった番外などの事情に詳しくなければ寺院の名前が書かれている部分だけ完成させたら終わりという風に勘違いしてしまうケースが多いんですね。
似たような場合で過去にも一度小豆島八十八ヶ所で番外の高野山を巡り忘れてしまったお客様がいらっしゃった為に、代わりに参拝しにいった事がありました。
いずれにしてもこのまま空白で額装すると最後の部分だけ空白になってしまい物凄く不自然になってしまうのでお客様にご説明するとどうしたら良いかわからないと悩まれてしまいました。
こういった場合、ご自身が懇意にしている寺院様で書いてもらったりする事もあるのですがそういった寺院様とのお付き合いもあまりないとの事。
「う~ん…」としばらく悩んでしまいましたが、弊社の近くには真言宗須磨寺派の大本山である須磨寺があるのでそこで代わりに集印をしてもらって完成させましょうかとご提案させていただきました。
お客様は真言宗だったので喜んで下さり、かくして須磨寺まで集印をしに行く事になりました。
こちらが改めて集印を完成させたまくり(本紙)です。
これに裏打を行い、額に張り込んで仕立てていきます。霊場集印の台紙の裏打の様子はこちらの動画をご参照ください。
四国八十八ヶ所 額装完成
完成した額装がこちらです。
須磨寺の部分があるので違和感なく額を飾って楽しむ事が出来ます。
お客様も出来栄えに大変喜んでいただけました。(何より)
くれぐれも霊場集印をされている方は下の台紙が空白になっている場合は注意して「 巡り忘れ 」のないようにしてください。
額装の仕立てに関してより詳しく以下の動画で解説しておりますので宜しかったらご覧ください。
和額の種類についてはこちらの動画で解説しておりますのでよろしかったらご覧ください。
四国八十八ヶ所の納経軸掛軸表装については以下の動画で紹介しておりますので宜しかったらご覧ください。