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掛軸のシミ抜き相談 | 出雲大社宮司千家尊祀の書
掛軸の修理のご相談で多いのが汚れの除去やシミ抜き。変色した部分が作品の鑑賞を邪魔してしまうので悩まれている方が非常に多いです。
このシミ抜きですが表具の仕事の中でも難易度が高い作業の一つになります。シミの原因は様々なので綺麗に抜けるかどうかはやってみないとわからない部分があるのです。シミ抜きには薬剤を使用するのですが、シミが綺麗に抜けないからといって薬剤の濃度を高め過ぎたり時間をかけ過ぎたりすると作品が傷んでしまったり変色してしまったりと不具合が発生するので加減が難しいのです。
シミは抜きたいが不具合は発生させたくない…この葛藤の中で作業を行わなければならないのて表具師には経験が必要になってきます。
弊社が心がけているのは
『シミ抜きは作品を鑑賞する上で邪魔にならない程度を目標にして、決してやり過ぎず作品の保持を最優先に行う』
事です。表具の世界は何事も加減、按排、バランスが非常に重要になってきます。
紙本に書かれた書のシミ抜き
今回のご依頼は第83代出雲大社宮司である千家尊祀(せんげ・たかとし, 1913-2002)が紙本に書いた『和』の文字の掛軸。この掛軸に発生してしまったシミを抜いて綺麗にして欲しいとの事でお預かりした作品がこちらです。
作品全体に細かな茶色のシミが大量に発生してしまっていますね。これではさすがに鑑賞の邪魔になりますね。
シワも全体に発生してしまってますので早期の修理が必要な状態にありました。
紙本と絹本でシミ抜きの方法や注意事項が変わってきます。表具師によってもどちらの方が得意などがあったりします。ちなみに私は紙本の方が割合好きです。まぁどちらでもしっかりと同レベルで対応いたしますのでご依頼される方はご心配なさらずにお気軽にご相談下さい。
今回は紙本のシミ抜きを行います。
シミ抜き、表装仕立替終了
無事に掛軸のシミが抜けました。鑑賞の妨げになるレベルは完全に脱せれています。
『和』の字の勢いもシミが無くなった事により再び感じる事が出来るようになりました。
今回のシミ抜きの様子や解説は以下の動画でまとめてありますのでご興味ございましたら是非ご覧下さい。(いいね、チャンネル登録をしていただけるとさらに嬉しいですm(_ _)m)
掛軸のシミ抜きでお困りの方は是非お気軽に弊社にご相談下さい。
他のシミ抜きに関する動画も宜しかったらあわせてご覧ください。