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四曲屏風の仕立替 | 尼崎市
屏風とは、部屋の仕切りや装飾に用いる調度品の一種。木の枠に小さな襖のようなものを数枚つなぎ合わせて折り合わせた構造を持ち、「風を屏(ふせ)ぐ」という言葉に由来します。
現代の都会の家では見られる事は少なくなりましたが田舎の方に行けばまだまだ目にする機会も多くあります。
今回はそんな屏風の修理のご相談を兵庫県の尼崎市にお住まいのお客様から頂戴いたしました。
ご相談いただいた屏風がこちら。
表面は刺繍作品を貼り込んでいます。シミが発生しているのですがこういった色糸の刺繍の場合、薬剤を使用すると色落ちがするリスクが高いので今回はシミ抜きはやめておく事にしました。
屏風の修理相談で多いのが屏風の裏側がパラパラ剥がれてくる症状。今回はパラパラどころではなく完全に剥がれ落ちきった状態の物が2枚あります。
昔の屏風の裏って剥くとこんな風になってるんですね。
昔は紙が少なかったので新聞やメモ等を屏風の下貼りにこのように使用していました。
よく『この裏だけ簡単に取り替えて欲しい』や『裏に何か貼って目立たないようにして欲しい』という簡単な修理をご相談される方がいらっしゃいますが基本的には弊社ではお断りしております。
裏だけ簡単に取り替えるというのは屏風の構造上無理なので一度木の枠を分解し、古い下貼りを除去して新たに下貼り→裂地貼りをしなければなりません。
ただ昔の屏風は木の枠が傷んでいたり、屏風の骨組みの木が弱っていたりするので手間をかけて仕立替をした割に綺麗にならず強度も弱く費用も高くなるのであまり良い事がありません。
新しい屏風を調達してそちらに作品を貼り替えた方が安くなり、綺麗になるので弊社ではそちらを推奨しています。(それでもそれなりに費用はかかりますが)
裏だけ現状の物の上に何か貼る事もやりません。正確にいうと一度やってみてえらい目にあったからです。
ボロボロになっている裏側に新しい裂地を貼ればイメージでは上手くいきそうですが、だいたい下地の紙自体がモロモロになっているのでその上にいくら新しい裂地を貼っても土台ごと剥がれてきます。
一度安請け合いしてみてえらい事になって結局全部仕立替したという苦い思い出があります。
余談が長くなりましたが今回仕立替をした新しい屏風がこちら。
新しい屏風に作品の裏打紙を交換して張り込みました。
裏側も新しい屏風なのでとても綺麗です。(当然ですが…)
屏風の枠も新品なのでとても綺麗です。(当然ですが…)
お客様も喜んでくださいました。こちらの屏風はお客様の亡くなられたお母様の作品らしく思い入れがあった為、綺麗になったので非常に喜んでくださいました。
弊社では古い屏風の仕立替のご相談も承っております。尼崎市内でお困りのお客様がいらっしゃいましたら出張相談も承っておりますので遠慮無しにご相談下さい。