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シミと折れがある南無阿弥陀仏の掛軸修理 | 太子町
弊社のHPでは様々なお客様からのご相談事例をご紹介しており、その記事を読んで遠方の方からもご相談を頂戴する機会が多くあります。
今回は兵庫県の太子町にお住まいのお客様よりご相談を頂戴したお話をご紹介させていただきます。
太子町は姫路市とたつの市に隣接するエリア。
弊社からは渋滞がなければ1時間で行けるので今回もお客様のご自宅にご訪問させていただきました。
こちらがお客様からご相談いただいた掛軸ですが、ひどい折れジワと濃いシミが大量に発生してしまってます。
掛軸を触った感触ですが恐らく本紙(掛軸の作品部分)が結構硬いので折れが発生しているのだと感じました。
きついシミなので100%抜くのは難しいかもしれないが出来る範囲でという事を了解いただき表装仕立替をする事に致しました。
こちらが表装仕立替が完了した掛軸です。
お客様の希望でなるべく元の掛軸と同じ風合いの裂地で仕立てて欲しいという事でしたのでなるべくあわせました。在庫で似た裂地があってよかったです。(´▽`) ホッ
折れの方は裏打をし直す事で回復いたしました。本紙はやはり厚くて硬い物でしたので新しく裏打に使う和紙を薄い物にして調整いたしました。
シミ抜きも出来る限り行いましたがやはり、100%抜くことは出来ませんでした。
もちろん最初と比べたら雲泥の差ですが目を凝らしてみるとうっすらとわかる程度は残っています。
しかしこれ以上シミを抜こうとすると薬剤がキツくなりすぎる為、本紙を傷めたり作品の墨などに影響が出る可能性があるのでここまでが限界です。
シミ抜きはどこまで抜けるかはやってみなければわからないというのは上記のような塩梅を見極めながら行わなければならないからです。
お客様には最初にご説明していたので了承してくださり、それでも
「綺麗になった。全然鑑賞の邪魔にはならない。」
と喜んでくださいましたのでなによりです。
弊社は今回のように折れやシミが発生した掛軸の修理も承っております。シミ抜きは表装修理の中でも特に難易度が高い作業ですがお困りの方は気軽に一度ご相談下さい。
掛軸のシミ抜きに関してより詳しく以下の動画で解説しておりますので宜しかったらご覧ください。