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日本の掛軸表具技術が光る: マレーシアから刺繍作品をタペストリーに仕立てる依頼
弊社は掛軸を製作している会社ですが、その技術や知見を頼って世界中から様々なご相談が寄せられます。
今回はマレーシアから少し変わった作品の製作依頼を頂戴いたしました。
ご依頼をくださったのはクアラルンプールに住む女性です。
彼女は以前、日本の鎌倉を訪れた際にギフトショップでいくつかのタペストリーのような布製の工芸品とその材料であろう刺繍作品を購入しました。
彼女はその刺繍作品を一緒に買ったタペストリーのような形にしたいとずっと思っていましたがなかなか知見のある方が見つからず困っていました。
そんな中、インターネットで掛軸の製作を専門とする弊社を見つけ問い合わせを頂戴いたしました。
彼女からご相談を受けたのは8つの異なるサイズの刺繍作品です。
彼女はそれらを見本のようなタペストリーに仕立てて、自宅のダイニングルームに飾りたいと考えていました。
弊社は完璧には見本の通りに製作する事は不可能ですが、弊社の掛軸に関する技術や知見をもってすれば、かなりサンプルに近い形の物が製作できると判断し、その旨をお客様にご理解いただいた上で相談を受ける事にいたしました。
しかし、製作を進める上でこの刺繍作品を見本のようなタペストリー作品に仕立てるにはいくつかの課題が発生しました。
これら刺繍作品は通常の掛軸に使用されるような薄い作品ではなく、厚みのある布製の作品だった為、当初想定していた工程で作品を台紙に巻き込んで掛軸風に仕立てると台紙にシワが発生するなどの様々な不具合が生じてしまいました。
これらのトラブルを解消する為に、台紙の裂地の薄さと強度を何度も調整して、最適な状態を見つけるのに試行錯誤を重ねた結果、ついにタペストリーが完成いたしました。
製作には予想以上に時間がかかりましたが、最終的には美しい作品が完成し、お客様にも出来栄えに大満足していただけ何よりでした。
弊社は今後も掛軸に関する様々な技術や知見を日本のみならず海外の方にもお届けする事で、様々な局面でお役にたてればと思っております。
今後も精進してまいりますのでなにかお困りの際はお気軽にご相談ください。