掛軸、家族の絆を深める: 海外からの特別な修復依頼

掛軸は日本の伝統文化として受け継がれてきた芸術品です。

その価値を認識し子孫にも伝えたいと考えているのは日本国内の方々だけではありません。

今回はそんな遠く離れた地で掛軸を大切に思い、修復を望んだアメリカ在住のお客様からの特別なご依頼をご紹介します。

 

ご相談をいただいたのはアメリカにお住いの女性のお客様で、既に他界されたご両親から受け継がれた2点の掛軸の修理依頼でした。

こちらの美人画の掛軸は全体的に虫食いが発生しており汚れもひどい状況でした。軸棒が外れて無くなってしまっているのもひどい状況ですね。

 

こちらの竹の掛軸はきつい折れジワが複数発生していました。仕立替をする事である程度回復はしますが、100%フラットな状態にまで回復するかどうかは仕立替をやってみないとわからない程のきつい折れジワでした。

 

これらの掛軸は単なる美術品ではなく、ご両親から受け継がれた大切な思い出の品でもあります。修復後は、彼女のお孫さんたちにサプライズプレゼントとして贈られる予定でした。

掛軸が次世代に受け継がれていくことを望まない表具屋はいないでしょう。弊社も例外ではなく、お客様の期待に応えられるよう技術と心を込めて修理修復に臨みました。

 

修復は難易度が高い作業でしたが、弊社の職人たちはその技術を駆使し美人画の掛軸を見違えるように美しく蘇らせることができました。また、竹の掛軸についても折れジワをフラットに伸ばし、作品の汚れを除去することに成功しました。墨の表現が際立つようになり、作品本来の美しさが引き立ちました。

 

お客様の元へ掛軸をお送りさせていただき、特にお返事がなかったので仕上がりにご満足いただけたのかどうか不安でしたが、なんと約半年後に以下のお返事を頂戴いたしました。

We finally opened the scroll boxes (we were waiting for these to be a surprise for the grand children) I waited patiently and finally got to see them!

They are beautiful- thank you so much for your hard work – much appreciated!!

やっと掛軸の箱を開けました(孫たちへのサプライズとして待っていたのです。)辛抱強く待って、やっと見ることができました!

本当にありがとうございました!

 

なんと掛軸がお客様の元に到着してから約半年の間、お孫さん達と一緒に初めて見る為に掛軸を箱から出さずにご自身も掛軸を見ずに待ってらっしゃったそうです。

お客様がお孫さんたちとの特別な瞬間のためにずっと待っていたという事実には、私たちも感動しました。そして、最終的にはお客様とそのご家族にご満足いただけたことを知り、大きな喜びを感じました。

お客様からの感謝の言葉は私たちの仕事に対する最大の賞賛であり、これからもこのような特別なプロジェクトに取り組んでいくことで、より多くの人々に日本の文化を伝えていきたいと考えています。

 

CEO Message

あなたと掛軸との懸け橋になりたい


掛軸は主人が来客に対して季節や行事などに応じて最も相応しいものを飾り、おもてなしをする為の道具です。ゲストは飾られている掛軸を見て主人のおもてなしの気持ちを察して心を動かす。決して直接的な言葉や趣向ではなく、日本人らしく静かにさりげなく相手に対しておもてなしのメッセージをおくり、心をかよわせる日本の伝統文化です。

その場に最もふさわしい芸術品を飾り、凛とした空間をつくりあげる事に美を見出す・・・この独特な文化は世界でも日本だけです。

日本人が誇るべき美意識が詰まった掛軸の文化をこれからも後世に伝えていきたいと我々は考えています。



代表取締役社長
野村 辰二

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会社概要

会社概要

商号
株式会社野村美術
代表取締役
野村辰二
本社
〒655-0021
兵庫県神戸市垂水区馬場通7-23
TEL
078-709-6688
FAX
078-705-0172
創業
1973年
設立
1992年
資本金
1,000万円

事業内容

  • 掛軸製造全国卸販売
  • 日本画・洋画・各種額縁の全国販売
  • 掛軸表装・額装の全国対応
  • 芸術家の育成と、それに伴うマネージメント
  • 宣伝広告業務
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