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アメリカからの大切な思い出の掛軸の修理依頼
掛軸は世代を超えて思い出と共に受け継がれていく芸術作品です。
しかし時の流れとともに、紙や裂地が劣化することは避けられません。
そのため我々は掛軸の修復や再表装を通じて、お客様の大切な思い出を未来へ繋ぐお手伝いをしています。
今回は、特に印象深かった掛軸修復の事例をご紹介します。
ご相談
弊社はアメリカに在住の女性のお客様から掛軸の修復に関するお問い合わせをいただきました。
こちらがその掛軸です。掛軸の上部の部分が完全にちぎれてしまっている状態です。
お話を詳しくお伺いすると20年前に他界されたお客様の父親から受け継いだ掛軸を修復したいというご依頼で、文面からはお客様の掛軸への深い思い入れが感じられました。
修復の打ち合わせ
お客様に掛軸をお送りいただき、弊社側で掛軸の状態を確認し、どのように修復するかについて詳細な打ち合わせをお客様と行いました。
現状の掛軸のスタイルは日本の表装のスタイルとは異なっていたのでお客様にどちらのスタイルで仕立替を行うかをご確認させていただいたところ、伝統的な日本の表装スタイルをご希望でした。
その他は出来るだけシンプルな仕立で、表装に使う裂地も現状の雰囲気に近い控えめな色柄の物をご希望との事でしたので、最適な裂地と修復方法を決定いたしました。
掛軸修理工程
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
作品解体 (古い裂地や軸棒などを取り外していきます。)
↓
旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくる」という作業)
↓
再表具
掛軸仕立替完了
掛軸の仕立替が完了し、見違えるような仕上がりになりました。
上品な裂地の色合いが作品を格調高く引き立てています。
早速お客様にお送りすると大変喜んでくださり、以下のようなお返事を頂戴いたしました。
I received the scroll this past week. Thank you so much! You did a fantastic job. I will always be happy to refer you to friends who have similar needs.
先週、巻物を受け取りました。 本当にありがとう! 素晴らしい仕事をしてくれました。 同じようなニーズがある友人には、いつでも紹介させていただきます。
お父様との思い出も蘇ってくれると非常に嬉しいですね。
掛軸は単なる美術品ではなく、家族の歴史や思い出が込められた特別なものです。その大切な思い出を、次の世代へと繋ぐお手伝いができたことを私たちは誇りに思います。
私たちは今後もお客様の大切な思い出を守り、最高の品質で修復を行ってまいります。
掛軸修復に関するご相談やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。心を込めて対応させていただきます。