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経年劣化した欄間額の修理 〜美しい書の魅力を甦らせる〜
長年大切にされてきた欄間額。しかし、経年劣化や損傷により美しい書の魅力が失われてしまうこともあります。今回は卸先の人形屋様から深刻なダメージを受けた欄間額の修理依頼をいただいたエピソードをご紹介いたします。
修理前の状態 〜ボロボロの状態に〜
ご依頼いただいた欄間額は複数の箇所に穴が開き、紙がボロボロに破れていました。
さらにシミや汚れも目立ち、長年の劣化がそのまま表れている状態でした。このままでは鑑賞するのが難しく、適切な修復が必要な状況でした。
修理のプロセス 〜細心の注意を払いながらの作業〜
今回の修理では、以下の手順を踏んで慎重に作業を進めました。
バラバラのピースを集めてなるべくひとつにする: まず、破損した部分の断片を慎重に集め、可能な限り元の形に戻す作業を行いました。細かく裂けた部分を丁寧に繋ぎ合わせ、元の状態に近づけるよう調整しました。
その状態で作品の表面から固定し、ピースが動かないようにする: 仮止めを行い、ピースがずれないように固定。この段階でしっかり安定させることで、後の工程がスムーズに進みます。
作品の旧裏打紙を除去: 長年劣化した裏打紙を慎重に剥がしました。古い裏打紙が残ったままだと新しい裏打が施せないため、重要な工程です。
シミ抜き: 作品全体の状態を確認しながら、シミや汚れを除去しました。作品に負担をかけないよう慎重に作業を進め、書の風合いをできるだけ損なわないよう配慮しました。
新しい裏打: 修復後の強度を保つため、新しい裏打を施しました。これにより、作品の耐久性が向上し、再び長く楽しめる状態へと整えられます。
補彩: 欠損してしまった部分に補彩を行い、自然な仕上がりに調整しました。過度な修正を避け、元の雰囲気をできるだけ尊重しながら、鑑賞に耐えうる状態へと仕上げました。
額装: 作品に筋を廻して欄間額に貼り込み額装完了です。
修理後の成果 〜見違えるような仕上がりに〜
修理後の欄間額は穴があったとは思えないほど自然な仕上がりになりました。
必要最低限の補彩で済ませることで、作品本来の風合いを保つことができました。さらに、シミや汚れも丁寧に除去し、まるで見違えるような美しさを取り戻しました。
「穴があったとは言われないとわからないレベルにまで修復することができて嬉しい」というのが、今回の修復を終えての率直な感想です。
まとめ 〜欄間額の修理も承ります〜
今回の修理を通じてダメージの大きい作品でも適切な処置を施すことで、美しく甦らせることが可能であることを改めて実感しました。
「大切な欄間額が劣化してしまった」「修理できるか分からない」とお悩みの方は、ぜひ一度弊社までご相談ください。
職人の技術でまた長く愛される作品へと生まれ変わらせます。