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伝統の掛軸を未来へ繋ぐ:ドイツのお客様からの修理依頼
日本の伝統的な掛軸は世界中の美術愛好家に愛されています。
今回、ドイツ在住のお客様から大切にされている掛軸の修復と再表装のご相談をいただきました。
以前、弊社で掛軸をご購入いただき、その品質に満足されたことから今回のご依頼へとつながりました。
ありがたい限りです。
修復と再表装のご相談
お客様がお持ちの掛軸は長年の経年変化による汚れが見られる状態でした。
できる限りオリジナルの雰囲気を残しつつ、新たな表装で美しく仕立て直したいというご希望を伺いました。
特に表装裂地については「元の印象を大切にしながら、落ち着いた雰囲気のものを希望」とのご要望がありました。
最適な仕上がりを求めて:細やかな打ち合わせ
掛軸の再表装ではどの裂地を選ぶかが仕上がりを大きく左右します。
そこで弊社では複数の選択肢をご提案しました。
それぞれの裂地の特徴を詳しく説明しながら、色味や質感の違いを比較。
お客様は「金襴の裂地を希望しつつも、全体のバランスを重視したい」とのお考えでした。
そのため、新たに別の裂地の候補も加えながら、細かい打ち合わせを重ね、最適な組み合わせを模索しました。お客様と画像を共有しながらやり取りを行い、一つひとつ納得のいく選択を進めていきました。
細部の調整と最終決定
掛軸の装飾部分である「一文字」についてもお客様のご希望を踏まえて慎重に選定しました。
当初のご希望よりも明るめの裂地をご提案しましたが、最終的にはオリジナルの雰囲気を活かしながら、新たな表装としてふさわしい組み合わせを決定。
また、掛軸の軸先についても確認し新しいものに交換することになりました。
仕立替え完了と納品準備
無事に掛軸の仕立替えが完了し、お客様に仕上がりの写真をお送りしました。
お客様からは「想像以上の仕上がり!」とのお言葉をいただき、私たちも大変嬉しく思いました。
日本の伝統技術を海外のお客様に届けられることに私たちも大きなやりがいを感じています。
お客様とともに作り上げる掛軸
掛軸の修復・再表装は、単に古くなったものを新しくするだけではなく、お客様とともに最適な仕上がりを考えるプロセスでもあります。
今回のケースのように海外のお客様とも細やかにやり取りをしながら、納得のいく形で仕上げていくことの大切さを改めて実感しました。
これからも、世界中の掛軸愛好家の方々に、日本の伝統美をお届けできるよう努めてまいります。