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百観音霊場巡り納経軸を引き立てる掛軸表装事例

はじめに
「百観音霊場巡り」とは全国に点在する三つの観音霊場(西国三十三所・坂東三十三所・秩父三十四所)であり、この百ヶ所の霊場をめぐり、百ヶ所分の御朱印を収めた大型サイズの納経軸の掛軸という物が存在いたします。
3つの霊場を巡る労力が大変なのと、その掛軸の大きさから巡礼を頻繁にされる方の中でも持たれているのが珍しい掛軸が百観音霊場巡りの掛軸です。
弊社では過去に数回、こちらの百観音霊場巡りの掛軸表装依頼をお受けした事がございます。
今回はそんな百観音霊場巡りの掛軸表装依頼を兵庫県の但馬地方・朝来市にある歴史ある寺院のご住職様よりご依頼をいただきました。
本記事では、弊社が手掛けた百観音霊場巡り納経軸表装事例をご紹介し、同じように百観音霊場巡り納経軸の掛軸表装をご検討中の方にご参考にしていただければ幸いです。
百観音霊場巡りとは
「百観音霊場巡り」は、日本の代表的な三大観音巡礼――西国三十三所(近畿地方)、坂東三十三所(関東一円)、秩父三十四所(埼玉県秩父地方)――を合わせた総称です。鎌倉時代以降、各地の観音信仰を一度に結願できる巡礼として庶民の間に広まり、江戸時代には参拝道も整備されて盛況を極めました。
巡礼の証として寺院でいただく御朱印(納経印)を、個別の納経帳ではなく一枚の大きな「納経軸」にまとめるスタイルは、巡礼の達成感をより豊かに演出します。納経軸に墨書と朱印がびっしりと並ぶ様は、まさに巡礼の軌跡を視覚的に表すものであり、御本尊である観音菩薩の慈悲と巡礼者の信仰心を一体化させる意味も込められています。

ご依頼の背景
今回ご依頼くださったのは、兵庫県の但馬地方の朝来市にある寺院のご住職様です。
ご住職は全国各地の霊場巡りを大変好まれ、以前は全国各地の不動尊霊場巡りの納経軸表装をご依頼いただきました。
「全国にこれほど多くの不動尊巡りがあったのか・・・」というのと「よくこれだけの全国の不動尊巡りをされたものだなぁ・・・」とお仕事をお受けして驚いた事を覚えております。
その時の仕事をご住職が気に入ってくださり、「今回もすべてお任せします」とのお言葉を賜り、弊社一同、大きな喜びと責任を感じました。
100ヶ所分の朱印を一枚に収めた納経軸は、サイズが通常のものと比べ格段に大きく、設計・制作ともに高度な調整が必要ですが、ご住職様の信頼にお応えすべく丹念に仕立てを進める決意を新たにいたしました。

裂地の選定

表装裂地につきましては但馬エリアのお客様はあまり派手な色合いの裂地を好まれない傾向が過去の経験からわかっていたので、外廻しの裂地は派手すぎないシックな風合いの良質裂地を選定いたしました。落ち着いた色合いが墨書と朱印を引き立てる効果を考えました。
逆に中廻しはアクセントとして紺地に金襴の裂地を配し、外廻しとのコントラストで引き締まった印象になるようにいたしました。
最後に一文字はまくりの観音菩薩の光背の色を意識した色合いにし、スムーズにお客様が作品を鑑賞できるように(視線が誘導されるように)調整を行いました。
大型の表装の為、通常の納経軸表装よりも手間がかかる為、約2-3ヶ月の制作期間をお客様に頂戴しました。
百観音霊場掛軸完成
長かった表装工程を終え、ついに百観音霊場掛軸の表装が完成いたしました。
完成した百観音霊場納経軸は、その圧倒的な大きさと荘厳さが目を惹きます。
墨書と朱印がびっしりと並ぶまくりを落ち着いた風合いの表装が包み込み、中央の観音像を際立たせました。大型ならではの迫力が巡礼の軌跡と信仰の深さを雄弁に物語る仕上がりです。
納品・設置の様子

弊社スタッフが朝来市の寺院へ納品に伺い、床の間へ掛軸を設置しました。
掛軸を掛けた瞬間、ご住職様からは
「おぉぉ。本当にこんなに良くしてもらってありがとうございます。迫力ありますね。」
との喜びのお言葉をいただきました。床の間にしっくりと収まり、訪れる方々へ深い印象を与える佇まいとなりました。
百観音霊場巡り納経軸の掛軸表装は是非弊社に
弊社ではこれまでに百観音霊場巡りや四国八十八ヶ所、不動尊霊場など多種多様な納経軸の掛軸表装を手掛けてまいりました。多くのお客様からご満足のお声を頂戴しております。
巡礼の軌跡を美しく、そして末永くお楽しみいただくために――百観音霊場巡り納経軸の掛軸表装はぜひ弊社にご相談ください。