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スイスからのご来店。四季の掛軸を揃える楽しみ方

日本の掛軸には季節掛という種類が存在し、四季折々の画題が描かれた掛軸を季節ごとに掛け替えて楽しむ習慣があります。
今回ご紹介するのは、スイス在住のお客様が「春の掛軸はすでに持っているので、夏・秋・冬を揃えて四季で楽しみたい」と考え、弊社へ来店されたエピソードについてです。
目次
きっかけは、以前のお問い合わせから
今回のスイスのお客様は、実は数年前に弊社へ掛軸のお問い合わせをくださっておりました。
その後、お客様の仕事の担当エリアがアジア(主に日本)からヨーロッパへ変わり、日本へ来る機会がなくなってしまったため、しばらく検討が止まっていました。
しかし現在はヨーロッパとアジアの両方を担当するようになり、再び頻繁に日本を訪れるようになったことで、今回の来店につながりました。
お仕事の状況が変わることは自然なことですが、「やはり実物を見て選びたい」と再びご連絡をいただけたことが、掛軸屋として本当に嬉しい出来事でした。
来店前の準備。候補と在庫を確認し、冬掛は改めて相談へ
来店前のお客様の目的は明確でした。
春の掛軸はすでにお持ちで、これに加えて夏・秋・冬の三本の掛軸を揃えたいというご要望でした。さらにもう一本、以下の月光の掛軸を季節ものではなく、祝日や祝い事など特別な日に掛ける一本として加えたい、という構想です。

各季節の候補作品をHPより共有いただき、弊社側で在庫を確認して準備を進めましたが、冬の候補として挙がっていた作品のうち、すでに販売済みでご用意できないものがありました。
そのため、冬については改めてご要望をお聞きしながら、新たな候補の掛軸をご提案させていただきました。
お客様は提案に大変喜んでくださり、その中から2点の掛軸を当日ご覧になられる流れとなりました。
こうしてお客様のご来店に向けた準備が整いました。
ついにご来店!! 旅の話から自然に掛軸の話へ
当日は、ご来店直後から大変楽しく会話がスタートしました。
というのは、アポイントの時間の少し前に会社の近くのコンビニに私は買い物に行っていたのですが、そのコンビニでこの近辺ではあまり見かけない欧米系の外国人の方を目にしたからです。
その時はもちろんその方がお客様だとは断定できませんでしたが
「この時間に見かけない欧米系の外国人の方がこの近辺にいるということは、もしかしてこの方がお客様なのかな?」
と感じていたからです。
そしてお客様がアポイント時間にご来店されると、やはりその方ズバリでした。

そのことをお客様にお話しすると、少し早く到着されたので来店前に飲み物を買っていたとのことで、そこから前日は大阪に宿泊し、このあとは商談の後に姫路城を見に行く予定だというお話など、自然と会話が盛り上がっていきました。
そこから話題は、今回の目的である「夏・秋・冬の季節掛」と「月光の掛軸」へ自然に移っていきました。
お仕事の話。ディテールを大切にする視点
お客様はIT分野で、バーコード・文字・物体認識などの技術に関わっておられ、バックグラウンドはエンジニアリング。現在はお客様と直接話す機会が増えたともおっしゃっていました。
そのお仕事柄か、掛軸も「全体の雰囲気」だけでなく、細部の描写や素材、実物で見たときにしか分からない情報量を丁寧に確認されていたのが印象的でした。
お客様はご自身がドイツ出身であることに触れた上で、スイスやドイツ、オーストリアなどのドイツ語圏の人々が日本の美術や文化を好む理由について、「エンジニアリング」や「精度・正確さ」を重んじる気質が日本と似ているからではないか、と分析されていたのが大変印象深かったです。
夏。ご自宅の風景と掛軸の相性を具体的に想像する
夏の作品を検討している時、お客様はご自宅の情景を具体的に話してくださいました。
住まいは少し高台にあり、リビングには大きな白い壁があり、窓からはチューリッヒ湖が見下ろせるそうです。
夏の掛軸の候補の中で、湖が描かれている掛軸があり、その様子が暮らしの景色とも相性が良さそうだと感じられたようでした。

掛軸を「どこに」「どう飾るか」まで想像しながら選ぶ姿勢は、作品が暮らしにフィットしていく瞬間そのもののようで、とても興味深かったです。
秋。迷いの中心にあったのは“富士山の記憶”
秋の候補の2点の作品をご覧になられている際は、どちらの作品も魅力が強く、お客様もかなり悩まれていました。写真でも十分に美しいものの、実物では色の層や濃淡の奥行きがはっきり伝わり「写真以上に美しい」と感じられた様子が分かりました。
その中で話が一気に立ち上がったのが、お客様の富士山の記憶です。
以前、東京の渋谷にあったお客様の高層階のオフィスから富士山が見えていたそうです。毎日見えていたことがとても印象に残っているそうです。
この話が出た瞬間、「富士はやはり特別だ」という気持ちが言葉の温度として伝わってきました。

掛軸選びは知識や情報だけでなく、その人の記憶が最後の決め手になることがあります。まさにその場面でした。
お客様は飾られる時期について気にされておられましたので、赤富士は日本ではよく縁起掛として正月やおめでたい席に飾られることが多い掛軸ですが、季節的には晩夏から初秋にかけてなので、秋掛として飾られても問題ない旨をお客様に丁寧に補足させていただきました。
冬。売り切れをきっかけに、好みを深掘って提案へ
冬は、当初候補の一部が売り切れだったため、改めてご希望を伺いました。お客様が惹かれていたのは、雪のある山や谷など、日本の冬の空気感が伝わる風景です。
この方向性に合わせて冬物を複数ご提案し、店頭で比較していただきました。
その中でお客様の興味が惹かれた作品が、こちらの「金閣寺雪景」の掛軸。

実はお客様が来店前に問い合わせして売り切れになっていた掛軸も、これとは別の金閣寺雪景の掛軸だったので、同じ画題の作品にこうして巡り会えたことに大変喜ばれておられました。
お客様の興味は単なる視覚的なものにとどまらず、歴史的な内容にまで及びました。
「確か金閣寺は元々は伝統的なお寺というより、宮殿や邸宅として建てられ、その後に寺になったのですよね?」
と、その成り立ちにまで思いを馳せられておられました。
私も、
「もともとは室町幕府の三代目将軍・足利義満の別荘として建てられましたが、義満の死後に寺院として目的が変わりました」
とお応えし、日本の歴史を共有する和やかで楽しい時間が流れました。
お客様からは
「屋根が雪で覆われることで、金閣寺の『金』がより一層際立っていますね。とても荘厳です。冬の景色でありながら、青色や少しの緑、そして金色が使われているため、ある種の暖かさを感じます。決して『冷たい』とは感じない作品ですね」
と、作品に対する丁寧な感想を頂戴いただけました。
月光の掛軸。季節ではなく「祝日や特別な日に」

月光の掛軸については、お客様の捉え方が終始一貫していました。
季節掛の一本というより、満月と寺院の景色が祝祭の雰囲気に見えるため、祝日や特別な日に掛けたいという希望でした。
日本では月が美しい季節として秋に掛けられることが多いという文化的な背景もお伝えしましたが、そのうえで最終的には飾る方の感性が一番大切だというところで話がまとまりました。

旅行と帰国のタイミングを見計らって発送
お客様はこの後もしばらく日本に滞在される予定で、仕事の予定も続くと話されていました。
そのため、受け取りや通関対応がしやすいように、帰国のタイミングを見計らって発送の段取りを組みました。
後日、無事に到着し「すべて完璧な状態だった」とご連絡をいただき、弊社としても安心いたしました。

お客様の声
その後、お客様から大変心温まるフィードバックを頂戴する事が出来ました。
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どうもありがとう
四季で掛け替える。掛軸は暮らしのリズムになる
掛軸は季節ごとに掛け替えると、同じ空間でも感じ方が全く違う印象になります。
弊社では来店でのご相談はもちろん、海外からのご相談にもできる限り丁寧に対応しております。
掛軸を初めて購入される方も、四季のコレクションを揃えたいという方も、ぜひお気軽にご相談くださいませ。