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掛軸の複製|飾れない師匠の書を複製して飾る

掛軸がボロボロになってしまっている場合、修理を検討される方も多いと思います。
もちろん、修理によって掛軸をよみがえらせ、再び飾れるようにすることは大変意義深いことだと弊社も感じております。
しかし、その作業は繊細な専門技術と長年の知見、そして膨大な作業時間によって実現するものですので、費用がどうしても高額になりがちです。
そこで今回ご紹介したいのが、「修理」ではなく「掛軸の複製」という選択肢です。
ボロボロになってしまった掛軸を再び飾れるようにしたい場合でも、状況によっては原本を修理するより、複製品を製作した方が予算や目的に合う場合があります。
今回は、明石市のお客様よりご相談いただいた、道場に再び掲げるための掛軸の複製製作についてご紹介します。
ご相談の背景
明石市のお客様から「道場に掲げていたご神号の掛軸をもう一度飾れる形にしたい」というご相談をいただきました。

元々の掛軸はお師匠様が揮毫された大切な書道作品でしたが、年月が経ち、破れなどの傷みが進みすぎてしまい、飾るのが難しい状態になっていたとのことです。

「何とかしたい」という思いから、お客様ご自身で襖紙などを貼って補修を試みられたそうですが、掛軸は構造や素材の特性があるため、セルフ修理がかえって悪化につながってしまうことも少なくありません。
結果的に状態がさらに厳しくなり、きちんとした方法で整えたいと考えられ、弊社へご相談くださいました。

なお今回のご縁は、お客様が以前に弊社をご利用くださったお寺のご住職の檀家様で、ご住職からご紹介を受けたからとの事でした。
「信頼できるところに相談したい」というお気持ちが伝わり、こちらも身が引き締まる思いでした。
お問い合わせ内容と状態確認
お客様のご希望は大きく二つでした。
一つ目は「道場で再び飾れること」。
二つ目は「仕上がり寸法や表装の雰囲気を、現物になるべく近い形にしたい」という点です。
現物は破れや欠損が目立ち、素人補修の影響もあり、原本を修理して再び飾れる状態に戻すとなると、費用もかなり高額になる状態でした。
ここが今回の判断の分かれ目になります。
修理より複製が合理的な場合
「とにかく原本を直して残したい」というケースももちろんありますが、今回の目的は「道場で飾り、皆さんが気持ちよく見られる状態に戻すこと」でした。
この場合、傷みの大きい原本を無理に展示用へ戻すよりも、原本の文字を元に「複製掛軸」を製作し、飾れる一幅として整える方が結果として安上がりになることがあります。
今回はまさにその事例でした。
ただし、ここで大切なのは期待値の調整です。
複製は便利ですが、スキャンや和紙という印刷素材の性質上、墨の締り、濃淡階調、発色が変わる可能性があり、「見分けがつかない完全再現」を目指すものではないことを説明し、ご理解いただくことが肝要です。また、今回はあてはまりませんでしたが、金銀・特殊顔料は近似表現になる事もご説明させていただきました。
お客様もご納得いただき、掛軸を複製するプロジェクトで進めていく形になりました。
弊社のご提案|ボロボロの状態をそのまま出力しない
今回、特に喜んでいただけたのがここでした。
傷みが大きい原本をスキャンすると、当然ながら破れや欠損、傷んだ部分もそのままデータに出てきます。
しかし、道場に再び掲げる目的を考えると、「ボロボロの状態を忠実に複製する」よりも、「なるべく綺麗に見える形へ補正して出力する」方が、お客様にとっての満足度が高いはずです。
そこで弊社側で、スキャンデータ上の破れなどの傷みを補正し、見た目として整った状態にしてから出力する方針をご提案しました。
お客様にも「その方が嬉しい」とご納得いただき、最終的にこの方向で進めることになりました。
仕上がり寸法や表装の雰囲気についても、現物になるべく近い印象を保てるように全体のバランスを見ながら整えていくことになりました。

完成後の状態
こちらがスキャンして出力した作品を掛軸に仕立てた複製掛軸です。


完成後は、道場で再び掲げられる一幅として、見た目の印象が大きく整いました。
修復したとしても破れなどの傷みを抱えたまま再び飾るのではなく、「飾って気持ちよい状態」に寄せたことで、道場の御神号掛軸としての存在感も戻ったと思います。
お客様の声
仕上がりには大変ご満足いただき、道場のメンバーの皆さまにも喜んでいただけたとのことでした。
今回の複製掛軸製作が、皆さまの日々の稽古の場に自然に馴染む一幅になっていれば、弊社としてこれ以上嬉しいことはありません。
まとめ|掛軸の複製という選択肢
掛軸がボロボロになってしまった時、原本を修理するのが最善とは限りません。
目的が「再び飾ること」で、かつ傷みが大きい場合は、掛軸の複製を製作する方が費用面でも合理的で、仕上がりの満足度も高くなることがあります。
また、表具の素人修理は難しい場合が多く、結果的に悪化してしまうケースもあります。
まずは現状と目的を整理し、どの方法がいちばん自然で無理がないかを一緒に考えることが大切です。
弊社では現物を拝見した上で無理のない範囲で最適解をご提案しております。
「掛軸の複製を作れるのか知りたい」というお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。