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神戸で掛軸を購入|好みの掛軸選び

日本には四季があり、それぞれの季節に情緒があり見どころがあります。
その四季の見どころを作品として描き出し、表装して飾られるように掛軸に仕立てたもの「季節掛」と言います。
季節ごとの花、鳥、草木、行事などを題材にした掛軸は、古くから日本の暮らしの中で親しまれてきました。
今回はそんな数多くある季節掛の中からご自身の好みの掛軸を選び抜いたお客様とのエピソードをご紹介させていただきます。
たくさんの掛軸を実際に見比べながら希望の掛軸を選ばれた、弊社にとっても大変印象深い時間となりました。
目次
書と花の掛軸を並べて飾りたいというご希望
今回ご来店くださったのはスペイン在住のドイツ人のお客様です。

日本旅行中に弊社へお越しくださり、書の掛軸と花の掛軸の二本を購入したいというご希望をお持ちでした。
書の掛軸は短めのサイズ感のものを、花の掛軸は書と並べて飾る事を想定し、オーソドックスな縦長の掛軸をお探しでした。
まずは書の掛軸を決め、その後で花の掛軸を探していく流れでご提案させていただくことに致しました。
最初に選ばれたのは「夢」の書の掛軸
まずご提案させていただいたのは書の掛軸です。
「夢」や「和」など、いくつかの書の掛軸を実際に見比べていただきました。
書の掛軸は、一見すると文字の意味だけで選ぶように思われるかもしれませんが、実際には墨の濃淡、筆の動き、文字のダイナミズム、余白の取り方、そして表装との相性によって印象が大きく変わります。
お客様も作品そのものだけでなく、掛軸全体の雰囲気をとても丁寧に見ておられました。
最終的に選ばれたのはこちらの「夢」の掛軸でした。

この掛軸は書の持つ伸びやかな雰囲気と、表装の色合いのバランスが良く、お客様の好みにぴったり合ったように感じました。
「山を登って夢が叶う」表装に込めた意味
接客中、お客様から一文字の裂地についてご質問がありました。
一文字とは、本紙の上下に入る細い裂地の部分で、掛軸全体の印象を引き締める大切な要素です。
この「夢」の掛軸には山の柄が入った一文字を合わせていました。

お客様から「なぜ山の柄なのですか」と尋ねられたため、弊社では「夢を叶える為の努力を登山に見立て、一歩一歩の積み重ねの上にゴールがあり夢が叶う」というイメージを込めて、この裂地を選んだことをご説明しました。
単にきれいな裂地を合わせるのではなく、書の意味と表装の柄が自然につながるように考える。
ここは表具師としての感覚が出る部分でもあります。
その説明を聞いてお客様も深く納得してくださったご様子でした。
書に合わせる花の掛軸を探す時間
書の掛軸が決まった後、次に花の掛軸選びへ移りました。
特に季節にはこだわられていなかったので、牡丹、四季花、秋桜、烏瓜、桜、椿、菊、南天、紅白梅、四君子など、さまざまな花鳥・植物画の掛軸をご提案しました。
最初からお客様の好みが明確に決まっていたわけではありません。
実際に何本も見比べていただく中で、少しずつ「好きな方向性」が見えてきました。
特に印象的だったのは、背景が絵具で塗り込まれておらず、余白を大切にした作風を好まれていたことです。
また、色についても、ビビッドで強いものより、落ち着いたトーンで柔らかく、シンプルな雰囲気の作品を好まれていました。
椿の掛軸で見えてきたお客様の好み
お客様は椿の掛軸の構図や雰囲気をとても気に入っておられました。

ただ、赤の印象が少し強く、お客様にとってはやや華やかすぎるように感じておられるようでした。

「構図は美しいけれど、色はもう少し柔らかいものがあれば・・・」
この反応からお客様が求めているものは、ただ派手で目を引く掛軸ではなく、余白があり、色が強すぎず、静かに空間に馴染む一幅なのだと分かってきました。
掛軸を選ぶ時間は作品を見る時間であると同時に、お客様ご自身の好みを言葉にしていく時間でもあります。
弊社ではそうした小さな反応を拾いながら、お客様の感覚に近い作品を探していきます。
候補を二本に絞り、集中して見比べていただく
掛軸選びでは、たくさん見ることも大切ですが、最後までたくさん出し続けると、逆に迷いが増えてしまうことがあります。
今回もいくつかの掛軸を見比べていただいた後、お客様の中で候補が二本に絞られてきました。
そこで、今まで飾っていた他の掛軸をすべて片付け、最終候補の二本だけを並べて見比べられる状態にしました。
これはお客様に集中していただくためです。
最後は本当に気になる作品だけを見比べる方が心の反応がはっきりします。
掛軸を選ぶ時は知識だけで決めるのではなく、実際に目の前で見た時の空気感や飾った時に自分がどのような気持ちになるかも大切です。
そのためには候補を減らして、静かに見比べる時間を作ることも必要です。
最終的に選ばれた紅白梅に鶯の掛軸
最終的にお客様が選ばれたのは紅白梅に鶯の掛軸でした。

決め手は絶妙な抜け感のある構図、強すぎない華やかさ、そして鶯の愛らしさだったように感じます。
紅白梅というと華やかな印象がありますが、この掛軸は派手すぎず、余白とのバランスがとても良い一幅でした。
そこに小さな鶯が描かれていることで、作品全体にやさしい可愛らしさも生まれていました。
特に鶯を見て喜ばれていたお客様の笑顔が大変印象的でした。
書の「夢」と並べても強くぶつかりすぎず、静かな華やかさを添えてくれる良い組み合わせになったと思います。

掛軸の好みを探っていくのがプロの接客
今回の接客ではかなり多くの掛軸を実際に見ていただきました。
展示スペースに限りがありますので、候補から外れた掛軸は再び巻かれ、また新たな掛軸をお見せするという行為を繰り返しました。
そのため、お客様は何度か申し訳なさそうに謝っておられました。
しかし、弊社としては、たくさんのストックの中からお客様の好みに合う作品を探していくことは通常の接客の一部です。
むしろ、遠慮せずに「これは少し色が強い」「こちらの雰囲気が好き」「もっと柔らかいものが良い」と言っていただくことで好みの輪郭が見えてきます。
だからこそ好みをしっかりとお聞きし、候補を絞っていく時間が大切になります。
お客様にも「これが弊社の通常のサービスですので、気にしなくて大丈夫です」とお伝えしました。
結果的にたくさんの掛軸をご覧いただく時間そのものも楽しんでいただけたようで、弊社としても嬉しい限りです。

日本の植物や季節感を英語で伝える難しさ
今回の接客では、日本の植物名を英語で説明する場面も多くありました。
菊、烏瓜、萩など、英語で伝えるには少し難しい植物もあります。
日本人にとっては季節の風情として自然に受け取れるものでも、海外のお客様にとっては、名前や意味が分からなければ魅力が伝わりにくいことがあります。
掛軸に描かれた植物は、単なる装飾ではありません。
季節感や縁起、余白の美しさ、画題としての楽しさが込められています。
拙い英語であっても、できる限りその魅力をお伝えすることで、お客様にも日本の掛軸をより深く楽しんでいただけるのではないかと感じました。
掛軸の持ち帰りと飾り方のご説明
最終的にお客様は、書の「夢」の掛軸と、「紅白梅に鶯」の花鳥画の掛軸の二本を選ばれました。
ご購入後には、掛軸の飾り方や保管方法についてもご説明し、説明書もお渡ししました。
掛軸は飾る時だけでなく、巻き方や保管方法も大切です。
特に海外へ持ち帰られる場合は、移動中に傷まないようにすることも重要です。
今回は飛行機で持ち帰られるため、二本の掛軸を持ち運びやすいように梱包しました。
旅先で購入した掛軸がその後の暮らしの中できちんと飾られ、長く楽しんでいただけるようにする。
そこまで含めて、弊社の大切な仕事だと考えています。
Googleレビュー
接客後、お客様はGoogleレビューを書いてくださいました。
原文はドイツ語です。
Ich wurde exzellent beraten und über zwei Stunden lang von dem Landeninhaber und zwei Angestellen betreut – bis wir genau die zwei Kakejiku fanden, die ich mir vorgestellt hatte. Der Inhaber sprach gut Englisch und ich bin sehr dankbar für die Zeit und weiß dieses besondere Geschäft sehr zu schätzen. Ich werde sicherlich wiederkommen. Vielen Dank.
素晴らしい接客を受け、店主と二人のスタッフに二時間以上にわたって対応していただきました。そして、まさに私が思い描いていた二本の掛軸を見つけることができました。店主は英語も上手で、この時間にとても感謝していますし、この特別なお店を心から大切に思っています。きっとまた来ます。ありがとうございました。
このようなお言葉をいただけたことは、弊社にとって大変ありがたいことです。
実際に帰国後に部屋でお飾りくださったお写真がこちらです。

掛軸選びはお客様の好みを一緒に探す時間
今回の接客は最初から答えが決まっていたわけではありません。
まず書の掛軸を選び、その後で書と並べて飾る花の掛軸を探していく中で、お客様の好みが少しずつ明確になっていきました。
椿の掛軸は構図が良いけれど、赤が少し強い。
余白があり、色が柔らかく、落ち着いた雰囲気のものが好き。
そして最後に、紅白梅に鶯の掛軸へたどり着く。
このように実際に掛軸を見比べながら好みを探っていく時間は、店頭で掛軸を選ぶ大きな魅力の一つです。
弊社では掛軸そのものの良さだけでなく、お客様がどのような空間に飾りたいのか、どのような雰囲気を好まれるのかを大切にしながらご提案しています。
一幅の掛軸との出会いが、日本旅行の良き思い出となり、その後の暮らしの中でも長く楽しんでいただけるものになれば、弊社としてこれ以上嬉しいことはありません。
神戸で掛軸をお探しの方、海外から日本の掛軸を見に来られる方はぜひ一度ご相談ください。
弊社ではお客様の好みに寄り添いながら、大量のストックの中から本当に気に入っていただける一幅を一緒に探してまいります。