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天照皇大神 の掛軸仕立替 | 伊丹市
伊丹市 のお客様より
今回は天照皇大神仕立替の紹介。
「天照皇大神」と書かれた掛軸は昔から日本にある最もメジャーな掛軸のひとつで「御神号」(ごしんごう)とも言います。
「神号」とは「神道で,神々の尊称として加え称する呼び名。皇大神(すめらおおかみ)・大神・明神・天神・権現・今宮・若宮など。」
「天照皇大神」は正式には「あまてらすすめおおかみ」と言うらしいですが、一般的には「あまてらすおおみかみ」や「てんしょうこうたいじん」と呼んだりします。日本神話における最高神であり、この掛軸を常時掛として飾っている家が非常に多いですね。
「天照」という名前の通り太陽神なので、初日の出の意味合いもありお正月に飾られる事もありますし、太陽神なので豊作を祈願する為に農家の方の家の床には常掛で飾られている事が非常に多いです。
昔は「伊勢講」といって集落で「講」というグループを組み、お金を出し合い順番にお伊勢参りを行ったそうです。その時のお土産としてこういった掛軸を伊勢神宮から買ってきたそうです。
なので伊勢神宮には今でもこういった掛軸が販売されていますし、伊勢神宮の近辺にはこういった掛軸を取り扱っているお店もまだ多くあります。
今でもまだこの講の名残が残っている地域が日本にはあり、たまにお話をお伺いする事もあります。
さて、今回はそんな天照皇大神の掛軸の仕立替ですが随分と傷んでいますね~。
右上の方には大きな雨ジミも出来てしまっており、作品にまで影響を及ぼしてしまっていますね。
作品には折れジワも出来てしまっています。
表装オペレーション
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくり」という作業) ↓
作品洗浄 (汚れ落としです。シミ抜までは必要ないという判断です)
↓
裂地選定
(御神号は白い裂地の表装が多いのですが(神様だからかな・・・)、今回は茶系の裂地を希望。)
↓
再表具
さてさて、仕上がった作品はこちら。
シミ抜までしなくても洗浄で今回は綺麗になりました。このシミ抜までするかどうかの判断は表具師の経験によるところが多いです。シミ抜は結構きつい薬剤を使うので本紙によっては耐えられない場合もあるので慎重な判断が必要になってきます。
折れジワもしっかりと直りました。
Before → After
見違えるように綺麗になりました。これでまた長い間飾っていただけると思うと嬉しい限りです。今回は兵庫県の 伊丹市 のお客様のご依頼でしたが納品にお伺いすると大変喜んで頂けました。ご依頼ありがとうございます。
掛軸のシミ抜き作業についてより詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。
掛軸の仕立替・修復のお問い合わせは株式会社 野村美術までお問い合わせください。