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小林太玄 欄間額 日々是好日
今回は欄間額のお話。日本の和室には床の間や飾り棚といった独特な造りがあります。
その中の一つが欄間(らんま)です。欄間とは採光、通風、装飾といった目的のために天井と鴨居との間に設けられる開口部材。
ちなみに欄間周りの名称は下記参照。
こういったスペースにも細工を施して家を飾るのがやはり日本人ですね。室町時代や戦国時代は武士の時代として、こういった和室での会合が多かったので雰囲気を重んじる為に部屋の装飾にこだわっていたようです。特に欄間の装飾がなく、ただの壁になっている場合にはそこに額を飾り、趣を楽しみます。
臨済宗 大徳寺 塔頭 黄梅院 住職 : 小林太玄
さて、今回はそんな欄間額のご注文です。
昔の欄間額の仕立替はよく受けるのですが新しい額の発注は和室の減少からか少なくなったので久しぶりの注文に気合が入ります。
今回の作品は由緒正しき大徳寺の塔頭の一つ、黄梅院のご住職である小林太玄老師の作品です。
小林太玄老師は中国の奉天の生まれで育ちは兵庫県の赤穂。今でも赤穂の方に行くと小林太玄老師をご存知の方が多かったり、有名な和菓子屋さんのお店のインテリアに大きく『風』と書かれた額が飾られていたりします。
お茶の世界でも有名で、茶会の際に使われる茶軸を揮毫されたりしています。
豪快で軽妙な説法が人気のご住職です。
今回の作品はこちら…
日々是好日…『にちにちこれこうじつ』と読みます。
簡単に言うと『毎日同じ日は一日もない…雨の日も風の日もかけがえのない一日であり、その日一日一日を感謝して満足に生きる事が出来れば毎日が最良の日となる』という意味の禅語です。
深い・・・
禅語は心に染みますね・・・
達筆で有名な太玄老師らしく勢いのある素晴らしい作品ですね。
クモ入り落とし額
今回の依頼は額の仕立てにも意匠を凝らしてなかなか豪華な仕立てにいたしました。
やはり中身に相応しく、作品を引き立てる作りにする事が大切ですね。
額の棹も通常の額よりも太い棹を使っています。
ちなみにこちらの写真が通常の額の棹の太さです。
「落とし」という段差をつけた額の作り。作品を立体的に見せる効果があります。
通常の額の作り。業界内では「平張り(ひらばり)」と呼びます。
通常より太い棹なので「クモ」という段差をつけた作りになります。裂地の部分も立体的に見えます。
字の迫力を引き立てる重厚な雰囲気のある額装作品となりました。こだわりの逸品です。
欄間額の取付、飾り方に関しては下の動画をご参照ください。
額装の仕立てに関してより詳しく以下の動画で解説しておりますので宜しかったらご覧ください。
和額の種類についてはこちらの動画で解説しておりますのでよろしかったらご覧ください。