ニュース/ブログ
日蓮曼荼羅 掛軸 表装仕立替 | 神戸市 須磨区
神戸市須磨区
今回は神戸市 須磨区 の寺院のご住職様から「 日蓮曼荼羅 」の掛軸表装修理のご依頼を受けたお話。
掛軸の表装の仕事でよく出会うのが日蓮宗の「 日蓮曼荼羅 」に関するお仕事。
「曼荼羅(まんだら)」とは仏教において聖域、仏の悟りの境地、世界観などを仏像、シンボル、文字、神々などを用いて視覚的・象徴的に表したもの。「日蓮曼荼羅」は「法華曼荼羅」とも言われ、法華経の世界を表したものです。日蓮門下の諸派に於ける法華曼荼羅は、日蓮が末法の時代に対応するべく、法華経に登場する、如来、菩薩、明王、天などを漢字や梵字で書き表した文字曼荼羅です。敬称として「大曼荼羅御本尊」と称し、中央の題目から長く延びた線を引く特徴から、「髭曼荼羅」とも呼ばれています。
日蓮宗の人はこれを掛軸にしたものを飾る人が多いのですが、今回はそのお軸が傷んでしまっているので仕立替のご相談。
全体的に折れやシワが結構いっていますね~。これ写真では伝わりにくいのですが本紙が硬いのが原因となっているようです。
今回はあるお寺のご住職が檀家さんの持たれている掛軸を見て、「大切にしたほうが良い」と判断され預かり弊社に仕立替のご依頼に来られました。
何でもその宗派の昔の管長さんが直筆で書かれた日蓮曼荼羅らしく、ご住職自身も面識のある管長さんだったので尚更大切にしてほしいと思われたようです。
表装仕立替 オペレーション
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくり」という作業) ↓
作品洗浄(シミは無かったですが長年の汚れを落としました。)
↓
裂地選定 (現状の裂地の色合いに近いものを選定。)
↓
再表具 (本紙が硬いので裏打の紙の厚さを調整して硬くなり過ぎないように気を使って仕上げました。)
出来上がった作品はこちら。折れやシワも完璧にとれ、長年の汚れも落ちたので見違えるようにきれいになりました。字が浮き上がって見えるようになりましたね。
ご住職も新しくなった掛軸に大変喜ばれご満足されておられました。
「これで檀家さんも大切にまた使ってくれる。私としても嬉しい限りです。」とのコメントも頂きました。
喜んでいただけると仕事をした我々も嬉しくなります。
大切に受け継いでいって欲しいと思う物というのは多くは無いかもしれませんが必ずあります。
そしてそれらをきちんと受け継いでいってもらえるような形にする仕事をする人間もやはり必要だと思います。
大切なものを未来へつなぐ・・・そんな仕事を我々は行っています。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。