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正信念仏偈、出山釈迦図を掛軸に表装 | 相生市
相生市 のお客様より
表装を依頼されるきっかけとしてよくあるのが
「ご先祖様が書いた作品がそのままになっているのが気になって・・・。何か形にでも残しておこうかと思って・・・」 という理由。
今回もそんなご相談から掛軸表装の依頼をお受けいたしました。兵庫県の 相生市 のお客様でお祖父さんの作品のようです。
今回依頼を受けたのは「正信念仏偈」(しょうしんねんぶつげ)というお経を書いた作品と「出山釈迦図」という画題を描いた作品の2点です。
「正信念仏偈」は、親鸞の著書『教行信証』の「行巻」の末尾に所収の偈文。
一般には略して「正信偈(しょうしんげ)」の名で親しまれている。真宗の要義大綱を七言60行120句の偈文にまとめたもの。
浄土真宗で読まれるお経です。
お経の内容を詳しく知りたい方はこちらのリンクへどうぞ。
このお経を順番に書いていく途中で「南無阿弥陀佛」の形に抜き字をしていく作品の表装依頼が非常に多いです。
上記の作品はまさにそれなのですが、近くで見るとわかりませんが遠目に見るときちんと「南無阿弥陀佛」と抜き字をした部分が浮き上がってきますね。
近くで見るとこんな感じです。普通の写経よりも字を抜きながら書く分難しいでしょうね。最後の最後で間違えたりしたら・・・「ぎゃ~!!!!」ってな感じになるのでしょうね(汗)
2点目の表装依頼は「出山釈迦」図です。
「しゅっせんしゃか」とも「しゅつざんしゃか」とも呼ばれますが、室町時代以降、禅僧や各派の絵師たちによってしばしば描かれた日本画の好画題です。弊社でも何回か表装を承ったことがあります。
釈迦族の王家に生まれたゴーダマ・シッダルタは、ある日住んでいた城門から外に出ようとしたが、東門では老人に出会い、南門では病人に会い、西門では死者と遭遇して、生きているなればこそ生老病死の四苦があると無常を感じ、北門から出た時に出家の沙門に出会って、その清らかな姿を見て出家の意思を持つようになった。
そして29歳の折、ついに出家して山に入り、六年(あるいは七年とも)の間、筆舌に尽くし難いほどの修行を行ったが、こうした苦行は、いたずらに心身を疲弊するのみで、人生の問題を根本から解決する事にはならないと悟り、苦行を捨てる決心をして山を下りたと言われており、本作品ではその姿が描かれています。
納品
さてさて、お客様のご自宅に納品に伺いました。
ご自宅の床の間を拝見すると立派な仏壇を無量寿の仏間額。小林太玄老師の迫力のある無量寿の字が金張の額で格式高く感じられます。立派な金仏壇ともマッチしていて重厚みがありますね。その横には二つに区切られた床の間・・・こういったデザインも斬新です。別々の二つの空間で様々な表現が出来そうですね。さっそく飾ってみました。
ちょうど掛軸の総丈も違っていたので左のお床には少し短めだった「南無阿弥陀佛」の正信念仏偈のお軸を、右側には「出山釈迦図」の掛軸を飾りました。見事に床の間にマッチしていますね。お客様も「やっぱり軸装して良かった。おじいちゃんも喜んでくれているわ!床の間に映えるわ~。」と大感激してくれました。
近くにいらっしゃった二人のお孫さんにも笑顔でピース頂きました。ゆくゆくはこのお孫さん達にひとつずつ大切に受け継いでいって欲しいな~なんて掛軸屋として願っております。
子孫へと受け継がれていく思い出の作品・・・
思いをつなぐ仕事をさせていただいていると思うと本当に嬉しい限りです。
「大切なもの 未来へ・・・」
掛軸の歴史について知りたい方はこちらの動画をどうぞ