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石川晴彦 の作品を掛軸に表装 | 篠山市 のお客様から
石川晴彦 は明治34年(1901年)に京都で生まれ、昭和後期まで活躍した日本画家。入江波光、村上華岳の両巨匠に師事する。特に村上華岳から受けた仏画の影響は 石川晴彦 の作品から多分に見て取る事が出来る。
石川晴彦 は西洋の中世宗教画を研究し、仏教を学び座禅をし、古画や仏像を見て歩いた。師の影響を受けながらも、自分なりの仏画を完成させる為にただひたすらに努力を積み重ねた。そんな 石川晴彦 が描く観音像はどこか西洋的な情緒を漂わせながらも、単なる宗教画ではない人間的な温かみと安らかで清浄な印象を感じさせてくれる。
篠山市 より
今回の依頼は 石川晴彦 の未表装の作品を掛軸にして欲しいというものでした。お話を伺ってみると家の中から出てきたらしく、恐らくご先祖様が昔に手に入れられた物のようです。今回のお客様は兵庫県篠山市の方なのですが、石川晴彦 は戦時中に17年間篠山に疎開していたらしく、この地にも大変縁が深い。2011年には生誕110年を記念して「石川晴彦展」が篠山市の歴史美術館で行われました。もしかしたらお客様のご先祖様と 石川晴彦 も何か特別なご縁があったのかもしれませんね。そのような想いから未表装で出てきた作品を掛軸にしたいというご依頼でした。
表装前
表装後
今回はお任せという事で弊社の佛表装の標準パターンではない裂地から作品に合う裂地の組み合わせを選びました。石川晴彦 の観音図の地色(背景色)は独特の色合いなのでそれを引き立てる色合いでお客様の床の間で映えるものを考えました。一度お客様の床の間を拝見させていただいていると表装の裂地を選ぶのもイメージしやすいです。
納品
お客様にも大変喜んでいただけました。床の間の壁の色にも上手くマッチし、掛軸も作品も浮かび上がるようでした。秋のお彼岸前にお届け出来ましたので、お寺さんが参られた時にも見てもらい、親族にも見てもらうようです。もしかしたらその中で 石川晴彦 とご先祖様との関係が何かわかるかもしれませんね。
美術品に新たな命を吹き込み、大切に伝えていってもらう。そんなお仕事を我々は行っています。
「たいせつなもの 未来へ」
掛軸の歴史について知りたい方はこちらの動画をどうぞ