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兵庫県 市川町 のお客様から 橋本凝胤 の掛軸仕立替依頼
美術品の仕立替の仕事をしていると有名な作家の作品を受ける事があります。仕事をお受けすると不思議なものでその作家に興味が湧き、いろいろと調べてまた好きになってしまいます。その繰り返しで色々な含蓄が出来上がっていくのかなとも思います。
今回は兵庫県 市川町 のお客様から橋本凝胤 の書の掛軸の仕立替依頼をお受けいたしましたのでさっそく行ってまいりました。
市川町 ・自然あふれるゴルフクラブ製造発祥の地-
市川町は兵庫県の中部に位置し姫路と但馬の間にある神崎郡(福崎町、市川町、神河町)に属する町。豊かな自然に恵まれた風光明媚な場所です。ゴルフクラブ製造の発祥地でもあるらしく町内にはゴルフ関連の企業が多くあります。中にはゴルフクラブ製造の工場見学をされている企業もあるので面白そうな町ですね。
橋本凝胤 「20世紀最後の怪僧」
今回表装の仕立替をお受けしたのが上の写真の掛軸。橋本凝胤(はしもとぎょういん)の書「福聚海無量」です。
橋本凝胤(1897-1978)は法相宗の僧侶で薬師寺の元管主、法相宗の管長。歴代の管主である村上太胤(現在管主)、山田法胤、安田暎胤、松久保秀胤、高田好胤は皆、この橋本凝胤から教えを受けたという所からも仏教界に大きな影響を残したと言えます。「昭和の快僧」などの異名も伊達ではありません。大変厳しかったというお話はよくお聞きいたしますが、それくらいのバイタリティがあったればこそ後に続く名僧の多くを輩出する事が出来たのではないかなとも思います。
お客様はその橋本凝胤の作品をご縁があっていただいたそうですが随分と傷みが出てきていました。シミや汚れが随分と出てきていたので仕立替をし、シミ抜きを行う事にいたしました。
表装仕立替オペレーション
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
旧裏打紙を除去
(業界用語で「めくり」という作業)
↓
作品洗浄、シミ抜き
↓
新裏打
↓
付け回し(裂地の取り付け)
↓
仕上げをして完了
仕立替をした掛軸がこちらになります。仕立替のビフォーアフターで見比べると随分と綺麗になったのがわかりますね。
シミ抜きをする前とした後の拡大画像を見比べるとその違いが良く分かります。
表装の裂地も同じような色柄のモノがありましたのでそちらを使ってお仕立ていたしました。
市川町 納品
市川町のお客様のご自宅に納品に伺いました。特別なご縁でいただいた作品なので思い入れもあったようなので、綺麗にシミも抜けて仕立替されているのに大変喜んでいただけました。福寿が海のように広大無量にお客様のご自宅に満ちる事を心より願っております。
表装仕立替、シミ抜きなどのご相談はぜひ弊社までご連絡ください。
掛軸のシミ抜き作業についてより詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。