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一文字廻し 、 筋廻し について | 作品を引き立てる美意識
掛軸の表具のご依頼をお受けする際に、オプションとしてお聞きするのが
「 一文字廻し or 筋廻し はされますか?」
という質問。
ほんの小さなオプションで費用もそれほどかからないのですが、これをする事によって作品の見栄えが全然変わるので必ずご提案するようにしています。
今回はこの 一文字廻し と 筋廻し についてご説明させて頂こうと思います。
一文字 について
まず、掛軸には一文字という本紙(まくり、作品)の上下に金襴 or 銀襴の横長の裂地が通常取り付けられます。下の写真の赤で囲われた部分の裂地です。
標準の仕立てであれば作品の横には直接「柱」というパーツが取り付けられます。
一文字廻し
「一文字廻し」とはこの作品の左右に一文字と同じ裂地を取り付ける事で、作品を一文字の裂地でぐるっと一周廻ったようにするオプションになります。作品の周りに一文字の裂地が廻る事により作品全体が表具から浮き上がって見えるようになる効果があり、作品をより印象深く感じさせてくれます。
筋廻し
次に「筋廻し」ですが、これは「作品+上下の一文字」の周りに細い筋をぐるっと一周廻すように取り付けるオプションになります。下の写真では紺色の筋で廻しています。これも一文字廻しと同様に作品をくっきりと浮かび上がらせる効果があります。
たったこれだけのオプションなのですが、するのとしないのとでは作品の見え方が全然違ってきます。細やかな日本人の美意識が詰まったひと手間の細工なのでお薦めです。
昔の掛軸ではしていない場合も多いのですが、仕立替をする際などにはせっかくなのでちょっとワンランクアップの見栄えで表装されてはいかがでしょうか?
一文字廻しと筋廻しのどちらが上というものはないのでお好みで選んでいただくか弊社の方でより作品が引き立つ方を選ばせていただく場合もございます。
お気軽にお申し付けくださいませ。
掛軸の歴史について知りたい方はこちらの動画をどうぞ