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三木市 の寺院から達磨の掛軸表装修理依頼
三木市 の寺院より
掛軸の修理でよくご相談されるのが作品に発生してしまった汚れやシミについてです。様々な原因で発生してしまうのですが大体が綺麗にして欲しいというご相談。
しかし今回は珍しいご要望で汚れやシミをなるべく落とさないで表装を仕立替して欲しいという内容でした。
ご依頼主は兵庫県 三木市 にある寺院のご住職さま。ご相談いただいた掛軸がこちらです。
左端に縦に長くどす黒い汚れ・シミが発生してしまっています。
お話をお伺いすると普段あまり使わないお部屋に飾っていたら雨漏りが発生してしまっていたらしく、気がついたらこういう状態になってしまっていたらしいです。お寺なので普段使わないお部屋があっても不思議ではないですね。
掛軸自体も随分と傷んでしまっていています。過去に数度この掛軸は仕立替が行われたのが虫食いの跡と思われる部分に裏打紙があるのでわかります。字の部分が欠損してしまっているのは惜しいですね。
作品に無数の大きな折れジワが発生しているので非常に危険な状態です。このまま放置しているとこの折れの部分から作品の裂けが発生する可能性が高いので表装の仕立替が必要です。
随分と傷んでいる状態で、汚れも目立つのですがご住職はこの汚れが逆に作品に風格というか重みを加えているようで気に入っているそうで、逆にこの汚れがなくなってしまうとこの掛軸は好きじゃなくなるとの事…(苦笑)珍しいパターンですが好みは人それぞれ。日本の美意識の「侘び」の部分でしょうか。今回はなるべく汚れを残した状態で掛軸の仕立替を行いました。
欠損部分は以前の仕立替の際はそのまま処置されてなかったので裏打紙の色と作品の色が異なり、不自然な仕上がりとなっていました。今回はなるべく作品の色とあわせるようにして目が向かないように補彩処理を行いました。(欠損している字まではわからなかったのが残念です。)
無数にあった大きな折れジワも仕立替をする事でしっかりと伸びました。
掛軸の機能性を回復させる為に、大きな折れジワには「折れ伏せ」という補強を肌裏打の裏から施しました。
折れ伏せについてはこちらの動画をご参照ください。
幅広の掛軸に堂々と描かれた達磨大使の図なのでお寺のお床にも映えますね。ご住職も生まれ変わった達磨図に惚れ直しておられました(笑)
弊社は神社、仏閣のお仕事も数多くさせていただいております。掛軸や表装の事でお困りの事がございましたら是非弊社まで。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。