古い襖 の書画を掛軸に表装依頼 | 丹波市氷上町

襖

丹波市

日本では襖は和室と他の部屋とを区切る為によく用いられてきました。大抵の場合は4枚の襖が多いのですがそこに書画をその襖に貼り込み、鑑賞物として楽しむ場合も多くありました。書の場合では漢詩などを4枚に分けて書いたものや、絵の場合では四季に分けた作品などをバランスよく貼りこんでいたものもあります。

最近弊社に寄せられるご相談はこの襖に貼られている作品についてなのですが、和室が不要になった為、 古い襖 の作品をどう扱って良いかわからないという内容です。

「作品は残したいけど襖は必要ない」といった場合にご提案するのが軸装か額装です。

これは屏風でもよく受けるご相談なのですが現代の生活上、どうしても 古い襖 や屏風を使わないが中の作品を残したいという場合は上記の方法であれば現代でも作品を活かすことが出来ます。以前屏風の作品を額装に仕立替をした記事をご紹介いたしましたが今回は軸装にした時のお話です。額装にした時の記事は下記をご参照下さい。

 

お仕事の依頼は兵庫県丹波市の氷上町にお住いのお客様。岡山が実家で庄屋をしていたそうで家の襖に書の作品が複数枚貼り込まれていたそうです。色々な物が実家に残っていたそうですが、大量にあるので何か1点のみ作品に残したいというご要望でした。

沢山ある作品の中から 古い襖 に貼られていた書の作品を1点、掛軸に表装して欲しいという事になりました。ご依頼いただいた作品がこちらです。

古い襖 掛軸 仕立替 表具 表装

 

かなり酷い状態ですね。作品の左下には大きな破れがあり、作品の裏打の糊も全体的に浮いてしまっている状態です。汚れも目立ちますね。

古い襖 掛軸 仕立替 表具 表装

 

こちらは作品の裏側です。表具屋の中ではあるある話なのですが、昔は屏風や襖などの下貼りに古紙・・・新聞紙であったり書付であったり手紙であったりといった不要な紙が補強の為によく利用されていました。前回の表具を行った時代を少し垣間見ることが出来るのである意味貴重なものですね。お客様の中にはこの古紙を返却して欲しいという方もいらっしゃいます。後々自分で研究されたりするのが楽しみなようです。

襖 掛軸 仕立替 表具 表装

 

 

裏側の古紙の拡大図。昔の新聞が左側に、切手の貼ってある手紙が下に確認できます。明治36年頃にやり取りされた手紙のようですね。

襖 掛軸 仕立替 表具 表装

 

表装仕立替オペレーション

さて、今回のオペレーションですが当然この古紙も全て剥がさなければならないので大変です。作品自体も随分と傷んでいるので慎重に作品を扱いながら軸装にいたしました。今回の大まかな表装のオペレーションの流れは以下です。

古紙を除去 (返却希望なのでこちらも丁寧に剥がします。)

旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくり」という作業)

作品洗浄・シミ抜

補彩 (作品の欠落している部分を自然に見えるよう地色を合わせる作業)

再表具 (お客様に選んでいただいた裂地パターンにて再表具)

 

丁寧に古紙と旧裏打紙を除去して作品を洗浄する事により、作品も見違えるように生まれ変わりました。補彩も行った為、破れていた箇所も目立たなくなりました。

襖 掛軸 仕立替 表具 表装

 

作品の内容は程明道(ていめいどう)と言う北宋時代の中国の儒者の詩である「秋日偶成(しゅうじつぐうせい)」の一説を書いたものでした。

読み

閑來無事不從容 (かんらいこととして しょうようならざるはなし)
睡覺東窗日已紅 (ねむりさむればとうそう ひすでにくれないなり)
萬物靜觀皆自得 (ばんぶつせいかんすれば みなじとく)
四時佳興與人同 (しじのかきょうは ひととおなじ)
道通天地有形外 (みちはつうずてんち ゆうけいのほか)
思入風雲變態中 (おもいはいるふううん へんたいのうち)
富貴不淫貧賤樂 (ふうきにしていんせず ひんせんにしてたのしむ)
男兒到此是豪雄 (だんじここにいたらば これごうゆう)

意味

(役職を離れて)ひまな生活になってからは何事もゆったりとして、起きるのも朝日が東の窓に赤々とさしてからである。あたりの物を静に見れば、皆ところを得てそこにあり、納得しており、春夏秋冬の自然におりなすよい趣は人間と一体となり融けあっている。
我らの信じる人の道は、天地間の無形の物にまで通じており、(この正しい人の道が行われてほしいという)思いは(有形である)風や雲や世相の移り変わりの中にまでは入りこんでいる。さてお金があって身分が高くてもまどわされず道を外れることなく、貧乏で身分が低くても人の道を楽しむ、(という言葉があるが)男子たるものは修養を積み、このような境地にいたるならば、すなわち真のすぐれた人物である。

 

「人の道を楽しむ」というのは本当に素晴らしい内容の書ですね。

お客様のご自宅に納品にお伺いすると作品の見違えるような出来に喜んでくれるのと同時に、この書の内容がわかった事にも大変喜んで頂けました。

「もしかしたら自分のご先祖様もこの書の内容を気に入っており、家訓のつもりで襖に貼っておられたのかもしれない。こういった心持で日々の生活を送れるよう努めていきます。」

とおっしゃっておられました。作品の内容がわかる事でその作品を大切に感じ、再び飾って頂けるようになるのは表具師として本当に嬉しい限りです。

この度は 襖を掛軸 へと仕立替をするお仕事をご依頼下さり、まことにありがとうございました。

弊社はこういった 襖 に関するご相談も受け付けております。お困りの事がございましたら是非ご用命下さい。

 

CEO Message

あなたと掛軸との懸け橋になりたい


掛軸は主人が来客に対して季節や行事などに応じて最も相応しいものを飾り、おもてなしをする為の道具です。ゲストは飾られている掛軸を見て主人のおもてなしの気持ちを察して心を動かす。決して直接的な言葉や趣向ではなく、日本人らしく静かにさりげなく相手に対しておもてなしのメッセージをおくり、心をかよわせる日本の伝統文化です。

その場に最もふさわしい芸術品を飾り、凛とした空間をつくりあげる事に美を見出す・・・この独特な文化は世界でも日本だけです。

日本人が誇るべき美意識が詰まった掛軸の文化をこれからも後世に伝えていきたいと我々は考えています。



代表取締役社長
野村 辰二

(ESC もしくは閉じるボタンで閉じます)
会社概要

会社概要

商号
株式会社野村美術
代表取締役
野村辰二
本社
〒655-0021
兵庫県神戸市垂水区馬場通7-23
TEL
078-709-6688
FAX
078-705-0172
創業
1973年
設立
1992年
資本金
1,000万円

事業内容

  • 掛軸製造全国卸販売
  • 日本画・洋画・各種額縁の全国販売
  • 掛軸表装・額装の全国対応
  • 芸術家の育成と、それに伴うマネージメント
  • 宣伝広告業務
syaoku.jpg(120220 byte)
(ESC もしくは閉じるボタンで閉じます)