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掛軸の風鎮飾りについて
掛軸の軸先ついている丸っこい玉の房が付いている奴ですが、「これ何なん?」という質問をよく受けます。
こういう奴ですね。
これは「風鎮(ふうちん)」とよばれる物なのですが「その意味や役割は何なの?」と思われている方が結構いらっしゃいます。
よくあるパターンが先代が管理していた掛軸を自分が引き継いだ際にもれなくこの風鎮もついてくるというパターン。
掛軸は飾るものとして理解できるのですがこの風鎮だけはよくわからない。
恐らく軸先につける物なのだろうが
- ・必ずつけないといけないものなのか?
- ・つけるルールはなにかあるのだろうか?
などと悩まれている方が多いようですので今回解説させていただきます。
風鎮の役割
風鎮 とは掛軸の軸先につける錘(おもり)です。
「風を鎮める」という字の如く、本来は掛軸が風に揺れないようにするためのものでした。
昔は今のようにエアコンなどがあったわけではないので和室の障子を開けて涼をとる事が多かった為、風が部屋に入ってきて掛軸がパタパタと風に揺れる事も多かったようです。
掛軸の重さは標準で500-600gの重さ程の物なので少し強い風が吹くと大きく揺れ、壁に激突してしまったり、掛軸を飾っているフックから紐が外れてしまい掛軸が地面に落ちて折れてしまったりと掛軸が傷む原因になったりしていた為、風鎮の重さで掛軸が動かないように固定していたわけです。
現在の住居では気密性も高く、エアコンもある為、障子を開けて涼をとる家庭もないので、風鎮本来の意味としてではなく、掛軸の装飾品としての意味合いの方が強いです。
風鎮の種類
※こちらで紹介している風鎮は動画内でご紹介している風鎮と一部異なりますのでご注意ください。
様々な種類がありますが一番オーソドックスな風鎮はオニックス風鎮と呼ばれるメノウという石です。
色や透明度の違いにより層状の縞模様を持ちます。色は乳白・灰・赤褐色など変化に富のが特徴です。
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他には青磁の風鎮もあります。
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清水焼や九谷焼のような陶器の物もあります。
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絵付の物もあります。
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佛事用の風鎮という物もあります。金の塗装がされているもので比較的高価な風鎮の部類に入ります。
中にはこだわられて購入される方もいらっしゃいますが、非常に荘厳な雰囲気を与えてくれる風鎮です。
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小型の風鎮というのもあります。
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つけるべきなの?
色々と紹介してきましたが結局はこの問題にぶち当たると思います。
先ほども紹介しました通り、本来の重りとしての意味では必要ない物なので必ずつけなければならないという物ではないというのが結論となります。
回りくどいオブラートに包んだ言い方をしてしまいましたが「つけなくても良い」です。
ただ、本来の意味としてではなく掛軸を飾る装飾品としては是非使っていただければと思います。
掛軸の雰囲気にアクセントとして用いられると、通の方からすると一目置かれたりします。
こういった小物で自身のセンスを表現するのも全然ありなので掛軸に合わせて楽しまれてはいかがでしょうか?
つける期間
ではこの風鎮、つけるとして「どのくらいの期間つけて良いの?」というご質問も良く承ります。
「つけっぱなしでも良いのか?」という内容ですが、答えは「つけっぱなしはNG]です。
風鎮はそれなりに重量がありますので長時間の使用は掛軸に少なからず負担になります。
最悪、掛軸を飾っている紐(掛緒)がちぎれてしまったり、紐を固定しているカンと呼ばれる金具が掛軸上部にある八双という木材から抜け落ちてしまう原因になったりします。
目安としては、掛軸は季節や行事に応じて2~3ケ月に1回の頻度で掛け替える事を弊社は推奨しておりますので、それを実践していただければ一つの掛軸にずっと負荷がかかり続けるという事は防げますので是非掛軸は定期的に掛け替えて下さい。
いかがでしたでしょうか?
一口に風鎮と言っても色々ありますが、大方今回ご紹介させていただいた内容でカバーできているかと思いますので参考にしていただければ幸いです。