掛軸の保管方法について。ナフタリンや樟脳など着物用の防虫剤を使用するのも危険!

 

今回は「掛軸の保管」についてご紹介させていただきます。

皆さんは掛軸の保管をどうされていますでしょうか?

「巻いてそのままの状態で保管している」

「新聞紙に包んで保管している」

「紙の箱に入れて保管している」

色々な方法で保管されていると思いますが、これらの保管方法は実はとても危険な方法です。Σ(・□・;)

何が危険かというと「掛軸を虫が食べてしまう」という危険性が非常に高いんですね。

掛軸は紙や織物と糊という非常に虫が好む材質で作られているのでこの「虫食い」という被害に遭われる方が非常に多いんです。

虫食い

皆さんの掛軸は大丈夫ですか? もしさっきのような方法で保管していてしばらく経つ方は確認された方が良いですね。

広げてビックリ「うぎゃ~!穴が開いている~」なんて事があるかもしれませんので(汗)

この虫食いですが小さいかわいらしいポツポツという穴からバッコバコにくそ馬鹿でかい穴が開いてしまっている場合もあります。虫の食欲ってすごいですね。

例えばこんな残念な例もあります。

とても大きな穴が開いてしまっていますね。

掛軸は巻いて保管しているので巻いた状態を貫通するように虫食いが進行してしまうのでこういった規則的な穴が出来てしまいます。

これ頂相という仏画なんですけど、人物の頭とかも見事にえぐられてますね。

以前佛事掛けの動画でお話ししたんですけどこの頂相っていうのは持ち主のお師匠さんが描かれたものなのでこんな状態だったらお師匠さんも浮かばれませんわね。

頂相についてはこちらの動画をご参照ください。

 

虫食いって怖いですね。新聞紙で包んでいても効果はないですし、逆にこの新聞紙やチラシで包んでいるとインクなどが掛軸に写るという別のトラブルにつながりかねないのでやめておいた方が良いです。

この怖い虫食いを防ぐ一番の方法は桐箱にきちんと入れるという事ですね。

桐箱は防湿性、防虫性、耐火性に非常に優れているのでまず第一に桐箱に入れて保管されるのをお勧めいたします。

桐箱に入れて湿気の無い所で保管し、年に1~2度、晴れた日に虫干しを行うなどを心がけていただければそこまで神経質になる事はないと思います。

だいたいシミであったり虫食いのトラブルは湿気の多い所で長い間ほったらかしにしていたというのが原因なので。

さらに虫よけの効果を高めたいという方は防虫剤を使用するのも良いのですが、とても多くの人が間違っているので注意してください。

必ず「掛軸専用の防虫剤」を使用してください。

「えっ!?掛軸専用のって何?服とか着物用の防虫剤とは違うの?」と思われた方、これ違います。

というか服とか着物用の防虫剤は絶対に使用しないでください。絶対です、絶対。

着物用の防虫剤は掛軸用と使われている成分が違うんですね。

そして着物用とかの防虫剤は薬剤が強力なんです。

着物用の防虫剤などは大体小さい袋に入っていてタンスとかに入れておいてしばらく経つと袋の中身が無くなっていると思うんですが、あれは固体から気化してタンスとかの中に成分が充満して虫よけ効果を発揮するんですけど服とかと違って掛軸は非常にデリケートな物なのでトラブルの元になる事が多いんですね。

しかも着物用の防虫剤も成分が色々あるんですよ。

ナフタリンとかパラジクロルベンゼンとかピレスロイド系とか樟脳とか…

エステー化学とか白元とか小林製薬とかいろいろ出していると思うんですけど違うタイプの防虫剤を一緒に使うと固体が溶け出したりして美術品を汚してしまったり気体同士が混じりあってシミの原因になったり絵具の変色につながったり軸先を溶かしたりと大体ろくでもない事が起こります。

今まで何回も使用されているお客様に遭遇しましたけど本当に使用しないでください。

たまに防虫剤の袋が破裂して中の透明の薬剤が掛軸にこべりついてしまっていたりというのを見かけたりするので。

この薬剤は除去できるかどうかは本当に難しい。運次第的な部分がありますので掛軸の事を考えるのであれば絶対にやめておいた方が良いです。

どうですか?皆さん。

使ってませんか?着物用の防虫剤。

もし若い方で自分はわからなくて親が掛軸を管理しているという方はご両親がそうされていないかチェックしてみてください。

この手の間違いを本当に多くの方が犯してしまっています。

私の感覚的な割合で言うと半数以上の方は間違っています。

じゃあ掛軸専用の防虫剤ってどんなのがあるの?って思われる方。

大丈夫。

Amazonでも楽天でも最近は売っていますしもし近所に掛軸を取り扱われているお店があるなら大抵用意しています。

そのお店で着物用の防虫剤を勧められる事はまずないと思います。

掛軸を扱うお店の中では常識レベルの話なので。

掛軸専用の防虫剤は使われているのは主に天然香木になります。

中身も全然違います。

代表的な掛軸専用の防虫剤の袋を破いて中身を見てみましょう。

 

全然着物用の防虫剤と違いますよね。

天然香木なので木屑みたいな物が入っています。

香りも着物用のモノに比べると柔らかい優しい香りがします。

臭いが無くなったら交換する形になりますが目安として1~2年に一度は交換してください、そんなに高いものではないので。

1個当たり100円から200円くらいのものが10個セットとかで売られていると思います。

代表的な掛軸用の防虫剤の商品リンクを下に貼っておきますのでご入用の方はそちらからご購入下さい。

<Amazon>

防虫香 上品(10ヶ入)

新品価格
¥1,320から
(2021/5/17 11:55時点)

<楽天>

今回は掛軸の保管についてご紹介させていただきました。

この記事を参考にしていただき、是非末永く掛軸を楽しんでいただければと思います。

 

CEO Message

あなたと掛軸との懸け橋になりたい


掛軸は主人が来客に対して季節や行事などに応じて最も相応しいものを飾り、おもてなしをする為の道具です。ゲストは飾られている掛軸を見て主人のおもてなしの気持ちを察して心を動かす。決して直接的な言葉や趣向ではなく、日本人らしく静かにさりげなく相手に対しておもてなしのメッセージをおくり、心をかよわせる日本の伝統文化です。

その場に最もふさわしい芸術品を飾り、凛とした空間をつくりあげる事に美を見出す・・・この独特な文化は世界でも日本だけです。

日本人が誇るべき美意識が詰まった掛軸の文化をこれからも後世に伝えていきたいと我々は考えています。



代表取締役社長
野村 辰二

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会社概要

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商号
株式会社野村美術
代表取締役
野村辰二
本社
〒655-0021
兵庫県神戸市垂水区馬場通7-23
TEL
078-709-6688
FAX
078-705-0172
創業
1973年
設立
1992年
資本金
1,000万円

事業内容

  • 掛軸製造全国卸販売
  • 日本画・洋画・各種額縁の全国販売
  • 掛軸表装・額装の全国対応
  • 芸術家の育成と、それに伴うマネージメント
  • 宣伝広告業務
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