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欄間額や仏間額 (和額) の取り付け方 飾り方 | 和室の長押、鴨居へ
動画: 欄間額・仏間額 (和額) の取り付け方 飾り方 | 和室の鴨居、長押へ
和室にある欄間というスペース。
ここには横長の額が飾られるケースが多いです。内容としては書であったり山水であったり花鳥であったりと様々で古来より日本の室内装飾の定番ともいえる物でした。
この欄間額を取り付け方がわからないというご相談を頂戴する事が多かったので今回こちらでまとめさせていただきました。
欄間額の取り付け方やコツ、注意点などをご紹介させていただきますので是非最後までご覧ください。
目次
準備物紹介
金槌
欄間額は合計3点の金具で欄間に取り付けていきます。その際に金具を打ち込む際に金槌が必要になります。
メジャー
欄間額を飾る位置決めをする際に必要になります。
折れ釘
欄間を固定する際の上部の金具。
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鴨居フック or 壁用額受
欄間額は通常、上部の折れ釘と下部2点の受け金具の合計3点で設置されます。
この下部2点の受け金具は2種類あり、状況によって使い分けられます。
一般的には鴨居フックと呼ばれる爪型の金具を長押に打ち込んでいく場合が多いです。
ただ長押に溝がある場合、鴨居フックの爪を打ち込む事が出来ません。
こういった場合はピンを打ち込んで設置する壁用額受という金具を使用します。
それぞれ額の縁の大きさ(太さ)によって受ける部分のサイズが異なる種類があります。
一般的な欄間額でしたら30mmタイプの物で問題ないです。(弊社が通常仕立てる欄間額の縁は30ミリタイプで対応可能です。)
通常よりも大きいタイプでしたら45mmと60mmタイプがあります。
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座布団
欄間額を下2点の金具で受ける際に、ダイレクトに支えると額の縁に傷がついてしまうのでクッションの役割を果たすのが座布団です。
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針金
額を設置して傾き具合を調整する際に使用します。
別に使用しなくても良い裏技的な方法なのですが、傾き具合を調整するために都度都度額を外して下して紐の長さを調整してもう一度飾って確認してまたダメだったらこの作業を繰り返して…というひたすらに無駄な時間を省けますので良かったらご参照ください。
踏み台
脚立や踏み台、椅子などなんでも結構ですが転ばないように安定した物で作業する事をお勧めいたします。
横長の額は慣れていないと思っているよりも扱いづらい物ですのでバランスを崩す場合がございますので気をつけて作業をしてください。
テープ
座布団を金具に仮止めしておく時に使用します。
これも裏技的なやり方なのですが、座布団を受け金具の上に置いた状態で額を置こうとしても座布団がちょっとした衝撃で落ちたりズレたりするのでテープで仮止めしておいた方が無難です。
位置決め
まず額をどこに飾るかの位置を確認していきます。
実際に飾ろうとしている場所の下に置いて感じを確認するのが良いと思います。
今回は部屋の真ん中に木があったのでそこを中心に額を飾る事にしました。額のセンターとその木のセンターを合わせて飾った完成イメージを想像してみて違和感がないかをチェックします。
次に額受金具の位置を決めていきます。
今回は欄間額の横寸が約4尺5寸でしたので必要な寸法は以下の通りになります。
額のセンター: 約2尺2寸5分
額受金具の位置: 約1尺1寸2分5厘
位置が決まったら長押にセンターの位置と金具の取付位置に鉛筆で軽く印をつけておいてください。
金具取付
位置決めが終わったら金具を取り付けていきますので欄間額は一旦邪魔にならない場所に移動しておきます。
まずは折れ釘から打っていきます。上部ならどこでも良いですが一番上が妥当かなと思います。
ある程度金槌で打ち込むと釘の先端はネジが切ってあるので手で回して折れ釘をねじ込んでいく事が出来ます。
女性の場合は少し固く感じるかもしれないのでペンチで回してあげると作業しやすいです。
次に受金具の取付になります。今回は長押に溝があり、爪タイプの鴨居フックが使えないのでピンタイプの壁用額受を用います。
金具を取り付ける位置は鴨居フックと同じです。
反対側も同様に金具を取り付けて額設置の下準備は完了です。
座布団仮止め
額を設置する前に受金具の上にクッション材の座布団を置きます。
ただ置いているだけだとちょっとした衝撃ですぐに金具から落ちてしまうのでセロテープなどで仮止めしておいてあげた方が良いです。
額取付
いよいよ額の取付です。くれぐれも長物の額を持ちあげての作業は慣れていないとバランスを崩しやすいので気を付けて慎重に行ってください。
額受に欄間額を置いて額の裏にある紐を折れ釘にひっかけます。
紐のテンションによって額の傾き具合が決まるのですが、一発でベストな角度に欄間額が飾れる事はほぼないので必ず微調整が必要になります。
この時にいちいち額を下ろして紐の長さを緩めるなりして調整してまた踏み台に上って飾って様子を見て…を繰り返すのは本当に本当に本当に時間の無駄だと私は思っておりまして、ささやかな時短の為に針金を用いて調整します。
針金で輪を作って折れ釘と紐を結び、その針金の長さで傾きを調整するようにします。針金の長さの調整は手でくるくる回すだけで出来るので非常に手軽なのです。
額がベストな位置になったら余分な針金が気になる方はニッパーなどでカットしてください。(正面から見える事はほぼないので私はこのままの事が多いです。)
踏み台から降りて傾きの確認を行います。
額の横から手を伸ばしても折れ釘などに手が届かない場合がほとんどです。無理に行おうとするとバランスを崩して踏み台から落ちるか、額に変に体重をかけてしまい額を落下させる原因になるので紐の調整などは必ず額の正面から手を伸ばして行ってください。
額の中心が取り付け位置の中心になっているかを確認して調整します。
最後に座布団の仮止めテープを外して完了です。
完成
以上で額の取付は完了となります。
旧家の方で欄間額の修理を検討している方や新宅で欄間額の購入を検討されている方で、欄間額の取付方法がわからないという方に今回の情報がお役に立てば幸いです。
ご不明な点等がございましたら遠慮なしにご相談ください。
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