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法隆寺釈迦三尊像の秘密
法隆寺の釈迦三尊像は、飛鳥時代の仏像の代表作として広く知られています。
この仏像は渡来人系の仏師、鞍作止利によって制作されたとされ、その特徴的なアーモンド型の目と微かな笑みをたたえる「アルカイックスマイル」で知られています。
仏像の正面性、つまり正面からの見た目に重きを置いて制作されたことが特徴で、左右対称性に細心の注意が払われています。
しかし、この仏像の興味深い点は、その正面性に対するこだわりとは対照的に、側面や背面にはあまり注意が払われていないということです。
実際、横から見ると、この仏像はかなり薄っぺらいと言われています。さらに驚くべきことに、左右の脇侍は前面のみが存在し、背中がないという特異な構造を持っています。
このような独特な造形は、中国の北魏時代の影響を受けたものと考えられています。
北魏では、石窟寺院における壁面彫刻、すなわち「浮き彫り」が一般的であり、これらの作品では奥行きや背面に対する意識が薄かったとされています。
法隆寺の釈迦三尊像は、この文化的背景を反映しているのです。