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危険!! その飾り方、掛軸が落ちる!! 間違った“紐”の使い方とは?

掛軸の上部には2種類の紐が取り付けられています。
それぞれの名称と役割を簡単にご説明いたしますと、まず、掛軸上部の八双(はっそう)と呼ばれる半月状の木材部分の金具に取り付けられている紐を掛緒(かけお)と言い、掛軸をフックや釘などに飾る為の紐です。次にその掛緒に取り付けられている長い紐を巻緒(まきお)と言い、掛軸をしまう際に巻き上げられた掛軸を巻いて固定する為の役割を果たします。

掛軸を飾られる際によくある危険な間違いというのが、この巻緒で輪っかを作るなどをしてフックや釘に掛け、掛軸の高さを調節して飾るという下の写真のような飾り方です。一見便利に見えますが、この飾り方は掛軸を傷めてしまう非常に危険な方法です。

問題の部分を拡大するとこのような状態になっております。

この飾り方は非常に危険です。
なぜなら、この長い紐は掛軸を巻いて保管するためのものであり、飾る目的では設計されておらず、掛緒と巻緒を取り付ける接合部分というのは必要最低限の強度でしか固定されておりません。下の写真の赤丸部分のように糊で紐同士を接着した後、裂でその接合部分を包んで固定しているだけです。

この巻緒で掛軸を飾るという事は掛軸の重みの負荷が全てこの脆弱な接合部分にかかるという事なので当然すぐに外れてしまいます。

これにより掛軸がフックや釘から落下し、その結果、掛軸に折れや傷が発生してしまうという事が発生してしまいます。
本来の掛軸は掛緒を用いてフックや釘に飾ります。掛緒は八双に紐を通す為の金具が打ち込まれており、そこに強固に取り付けられているので掛軸の重量を支える事が出来ます。


掛軸の飾る高さを調整されたい場合は巻緒を用いるのではなく、自在掛と呼ばれる専用の金具を用いるのが一般的です。こちらはフックを摘まむと上下にスライドする事でフックの位置を簡単に調整する事が出来ます。

以下の写真のように飾るのが正しい掛軸の飾り方になります。

掛軸をよく飾られる⽅は、ひとつ持っておくと便利です。以下のリンクから購入することも可能です。
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掛緒と巻緒を正しく使い分けることで、大切な掛軸を安全に、そして美しく飾ることができます。
正しい知識で、より長く日本の美をお楽しみください。