ニュース/ブログ
【2026】絶対行くべき美術展・展覧会25連発|北斎・暁斎・若冲・芦雪・観山・大英博物館ほか一挙紹介!
2026年は、日本美術の“過去最大級の当たり年”がついに到来します。
葛飾北斎、河鍋暁斎、伊藤若冲、長沢芦雪、下村観山──さらに 大英博物館 所蔵の名品 まで来日する、まさに歴史的シーズンです。
本動画では、美術ファン必見の 「絶対行くべき美術展25選」 を、それぞれの見どころや背景とともに一挙にご紹介します。
美術初心者からコアなファンまで楽しめる“保存版ガイド”。
目次
- 葛飾北斎関連展
- 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画
- 没後50年 堂本印象 自在なる創造
- 没後50年記念特別企画展 堂本印象—モダンなときめき 智積院襖絵の魅力
- NHK大河ドラマ特別展 豊臣兄弟!
- ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界
- 逸翁美術館名品展(仮称)
- 若冲にトリハダ! 野菜もウリ!
- 長沢蘆雪展
- トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで
- 元禄! 師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開
- 幽霊・妖怪画コレクション かく・みる・愛す、ばけもの絵(仮称)
- 竹久夢二 時代を創る表現者
- 妙心寺 禅の継承
- 開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」
- 下村観山展
- 生誕150年記念 木村武山 展、没後110年 日本画の革命児 今村紫紅
- まとめ
葛飾北斎関連展

2026年もやはりアツイのは葛飾北斎・世界で最も有名な日本人アーティスト。日本美術の鉄板アーティストの企画展が全国各地で行われますので順番にご紹介させていただきます。
北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより
まず最初が東京の国立西洋美術館で行われる「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」。こちらは葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」46図を全部見せまっせ展になります。1~2年に1回は必ず全国のどこかの美術展が行う鉄板企画となり、今回は国立西洋美術館で行われます。
注目は今回展示される「神奈川沖浪裏」は現存する中で屈指の保存状態の作品の物らしいです。さらに通称「赤富士」で知られる凱風快晴ですが、珍しい藍摺りの「青富士」も特別展示されるという事なので是非お楽しみください。
開館30周年記念ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵ロックフェラー・コレクション 「花鳥版画展 北斎、広重を中心に」
続いてが千葉県の千葉市美術館で行われる『開館30周年記念ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵ロックフェラー・コレクション 「花鳥版画展 北斎、広重を中心に』というとてつもなく長いタイトルの企画展ですが、簡単に言うと「アメリカの名門・ロックフェラー家の一人が持っている花鳥版画を北斎、広重の作品を中心に見せまっせ展」になります。
「花鳥版画=花鳥の浮世絵かぁ、ふ~ん」と思われるかもしれませんが実は浮世絵のジャンルにおいて花鳥はなかなか取り組まれてこなかったジャンルなんです。肉筆画では古来よりあったのですが浮世絵版画ではなかなか発展してこなかった。何故かというと恐らく微妙な色のグラデーションなどを摺物などで表現するのが難しかったのではないかと思います。花鳥画ってやっぱり情緒が大切なのでうっとり感というのを出そうと思うと色調調整はマストになってくるのがなかなか摺物では難しかったのだと思います。それをついに手を付けましたよ~という浮世絵師がやっぱりオールラウンダー、画狂老人の葛飾北斎。葛飾北斎は花鳥画も手がけました・・・がそれほど多くは種類はありません。おそらく「やるはやったけど深堀りする事に注力するよりも他の事もやりたい」といった感じだったのではないかなぁ~などと推測しております。そこで、本格的についに花鳥画を大成させたのが歌川広重になります。ポエミックペインターとして叙情豊かに作品ワールドを展開する広重だからこその開拓だったのだと思います。そんな花鳥版画を北斎、広重中心に見ていきましょうの展覧会になります。花鳥版画が浮世絵の中でどのように位置づけられ、北斎によって確立され、広重によって深化・多様化したかを体系的に示す貴重な機会となりますので是非お楽しみください。
北斎・広重 大浮世絵展~二大巨匠! 夢の競演
続いてが福島県の郡山市立美術館で行われる「北斎・広重 大浮世絵展~二大巨匠! 夢の競演」展です。こちらは「二大浮世絵師、葛飾北斎と歌川広重、どっちが好き?展」になります。現代でもライバルとして語られるこの二人の作品をそれぞれ代表作を含めて色々見比べてみましょうという企画になります。こちらは2025年に佐賀県、石川県で行われ活況を呈してきた折り紙付きの人気企画展になります。是非、二大絵師の作品を見比べて楽しみまくりましょう。
備前市美術館開館記念特別展 浦上コレクション 北斎漫画
次が岡山の備前市美術館で行われる「備前市美術館開館記念特別展 浦上コレクション 北斎漫画」になります。以前からあった備前市立備前焼ミュージアムをリニューアルして2025年7月にオープンした備前市美術館で行われる企画展。
「北斎漫画」は葛飾北斎の代表作シリーズ。全15編に渡るロングヒット作品である絵手本。もともとは全国にいる弟子たちのための絵手本として企画されましたが、途中から段々、葛飾北斎が「この世の森羅万象を描き尽したるで~」と気合を入れまくった結果、ネタ帳になっていった作品。ありとあらゆるものが描かれているのがとても楽しい作品群になっており、その北斎漫画の世界一のコレクションとして知られるのがこの浦上コレクション。こちらも数年前より全国で行われまくっている展覧会で折り紙付きですのでぜひ北斎の底なしの観察眼とアイデア帳ぶりを堪能してください。
大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画

東京と大阪で巡回される超大型メガトン級の展覧会「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画」。東京都美術館開館100周年を記念しての一大企画。
「世界を代表するミュージアム・大英博物館の日本美術のお宝大凱旋展」。
大人気江戸時代絵師達の錚々たる作品群が登場!!
中でも注目作品は葛飾北斎の「万物絵本大全図」。これは長らく行方不明になっていた103点の版下絵が2019年に発見され、2020年に大英博物館がまとめて購入して話題となった作品。この版下絵というのがキーワードで、浮世絵を製作するにあたりまず初めに絵師はドラフトである版下絵を墨一色で描きます。その版下絵を元に彫師が1版目を彫って輪郭線のみの試し刷りを製作します。その後、カラーの浮世絵であればそれを元に絵師が色指定をして各色ごとに版木が彫られ摺師によって刷られて完成されます(墨摺りであればそのまま摺師の仕事へ引き継がれます)。問題はこの版下絵から試し刷りの1版目を製作する際に彫師はこの版下絵を版木に貼り付けて彫っていくのでその過程で切り刻まれてしまいこの世には残るはずがない物なのですが、何らかの理由でこの「万物絵本大全図」プロジェクトは中止となり、その版下絵だけが奇跡的に103点残ったという代物なんです。今回はその103点の内、8点が日本初公開。大注目です。
その他、明治維新の廃仏毀釈の混乱の中で日本、イギリス、アメリカでバラバラになってしまった江戸時代初期の狩野派の襖絵が150年の時を経て再会を果たすロマンティックな襖絵展示もあるので目が離せません。
没後50年 堂本印象 自在なる創造

続いてが富山県水墨美術館で行われる「没後50年 堂本印象 自在なる創造」展。こちらは2025年京都で行われた大規模な堂本印象の回顧展の巡回展になります。
堂本印象は近代から戦後にかけて京都を中心に活躍した日本画家で「美の巡礼者」と呼ばれるきわめて独創的で進取の気性に富んだ画家です。この人物の最大の特徴は作風がめまぐるしく変わり続けたということ。仏画、歴史画、人物、風景、南画的な表現、西洋画的な手法——ありとあらゆる技法に挑戦し、独自の画境を次々と切り開いていきました。
本人も言葉を残しています。「画家としては、一つの様式が完成すればすぐにそれを打破し、いつまでも安住せずに、気前よく打ち捨てて次の段階を目指して進まなければならない」。つまり、達成と破壊、新たな創造へ——その繰り返しです。
その作風の大転換は1952年のヨーロッパ遊歴で決定的に訪れます。60歳を過ぎた堂本印象はローマ、パリで当時の最先端の美術に触れ、衝撃を受けました。帰国後、彼は日本画家であることを脱ぎ捨て、ピカソやモンドリアン、アンフォルメルといった戦後現代美術の流れへ身を投じていくのです。抽象表現、激しいストロークによる構成——その芸術は、もはや伝統的な「日本画」の枠を完全に超えていました。
その後も創意は止まりません。京都の京都府立堂本印象美術館も晩年の彼が自ら設計・建設した私設美術館で、その後京都府立館となった施設です。館全体が、堂本印象のデザイン思想そのもの——総合芸術として成立しています。
この展覧会は堂本印象の最初から最後までの全画業を通して見られる大回顧展。一人の画家とは思えないほどの七変化、その軌跡を辿ることで、日本美術史における戦後転換期の迫力と、不断の創造を求め続けた一人の巨匠の本質が浮かび上がります。具象から抽象へ、伝統から現代へ——その大きなドラマをぜひこの展覧会で堪能してください。
没後50年記念特別企画展 堂本印象—モダンなときめき 智積院襖絵の魅力

そんな堂本印象の関連展が京都府立堂本印象美術館で行われる「没後50年記念特別企画展 モダンなときめき 智積院襖絵の魅力」展。
智積院は由緒ある京都の古刹。かの長谷川等伯親子の代表作である国宝「楓図」と「桜図」の襖絵がある事でも有名な智積院。ここで堂本印象ワールドが炸裂したんですね。
昭和33年(1958)、智積院境内に大切なお客様を迎える場としてとある建物が再建され、そこに飾る襖絵として、印象に依頼がなされました。智積院には長谷川等伯父子による国宝《楓図》《桜図》がありますが、宗教活動は時勢と無縁であってはならないという寺の意に応えて、印象は「百年ぐらいは悪口を言われるだろう」という覚悟のもと、思い切りモダンな構想で描くことを決めたのでした。世間の批判をものともせず、新しい表現を追求し続けた印象の創作姿勢をご堪能ください。
また、本展にあわせ、茶の湯を愛した印象自らが手掛けた茶道具なども展示します。新収蔵品も公開しますので、この機会に是非お楽しみください。
NHK大河ドラマ特別展 豊臣兄弟!

愛知県の徳川美術館・名古屋市蓬左文庫で行われる「NHK大河ドラマ特別展 豊臣兄弟!」。タイトルそのまんまで「2026年の大河ドラマ豊臣兄弟に関連する作品を色々見せまっせ展」になります。
豊臣秀吉と弟の秀長がメインの話なら当然、徳川さんも色々登場するからそれに関わる色々なお宝あるよね~という事で、彼らをとりまく織田信長、徳川家康、黒田官兵衛、藤堂高虎、千利休、高台院らゆかりの品々をはじめ貴重な歴史資料を紹介。兄弟の生き様、二人が駆け抜けた時代を浮き彫りにする展覧会という事ですので是非お楽しみください。
ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界

東京・サントリー美術館、兵庫県の神戸市立博物館、静岡県内のどこかの豪華3会場で巡回される大注目展「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」。
待望の河鍋暁斎の大規模展覧会です。幕末から明治にかけて活躍したこの「鬼才」は、歌川国芳、狩野派など多様な技法を習得した後、独自の画風を確立しました。
その特徴はなんといっても画題の多様性です。神仏画、戯画、動物画、妖怪画——ありとあらゆるジャンルを、圧倒的な画技とユーモアを交えて描き分けます。中でもカエルとカラスは、特に得意とするモチーフとして知られています。
しかし、逆にその多才さゆえに、北斎の「富嶽三十六景」のような一つの象徴的な作品がなく、一般には知名度が低いのが現状です。だからこそ、今回の展覧会は貴重な機会となります。
2017年にBunkamuraで開催された「ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!」展は大盛況を博し、多くの新規ファンを生み出しました。今回の2026年巡回展は、世界最大級の河鍋暁斎コレクションを誇るイスラエル・ゴールドマン氏の所蔵作品約100点を展示。半数以上が日本初出品となる貴重な作品群です。
ぜひこの機会に、日本美術史における隠れた巨星の真価をご堪能ください。
逸翁美術館名品展(仮称)

東京のサントリー美術館で行われる「逸翁美術館名品展(仮称)」。
逸翁美術館は大阪にある美術館で現在の阪急阪神東宝グループの創業者のコレクションがある美術館。タイトルも決まっていないし何が出るかもわかっていないが唯一出るとわかっている作品だけでも十分紹介する価値がある、それが松村呉春の代表作「白梅図屏風」。
松村呉春は江戸時代中期に京都で活躍した絵師で京都画壇のキング・円山応挙に同格に扱われた高弟。その後、近代以降の京都画壇の画風となる四条派と呼ばれる上品でポエミックな画風を作った絵師。
そんな松村呉春の代表作中の代表作がこの「白梅図屏風」。これは私も見た事がありますが、他の松村呉春作品の中でも唯一にして絶対的な異色作。画風が他の作品と違う・・・けど・・・美しくとても叙情的。夜の白梅の美しさを見事に格調高く描き出しているのは一見の価値ありの名作。この作品だけで1時間は堪能できるくらい味わい深い作品なので東京の方は是非ご堪能下さい。
若冲にトリハダ! 野菜もウリ!

京都の福田美術館で行われる「若冲にトリハダ! 野菜もウリ!」。長年ヨーロッパの個人コレクションに眠っていた伊藤若冲の激レアな絵巻《果蔬図巻(かそずかん)》を、約1年間の修復を経て公開する特別展です。
この巻物は、全長約3.3メートル(画面約2.77m+跋文)の絹本着色大作で、様々な野菜や果物がぎっしりと描かれています。若冲が生まれた青物問屋「枡屋」の長男として、生涯モチーフとした野菜・果物を、彩色絹本の大型巻物という極めて希少な形式で描いた作品です。
若冲の彩色絹本着色の巻物は、現存する作品が極めて少なく、これまで同種の作は栃木・佐野市立吉澤記念美術館所蔵の重要文化財《菜蟲譜(さいちゅうふ)》だけと考えられてきました。それに比肩する本作がヨーロッパ個人蔵から新発見されたことは、日本美術史における大きなニュースです。
2023年に画像照会・真贋検討が行われ、オークションを経て福田美術館が収蔵。2024年に上部を中心にシミが発生している状態で一時公開されましたが、今回約1年間の修復を経て、本来の姿に近い色彩で蘇ります。
本作を中心に、若冲作品約30点(新収蔵の《老松白鶴図》など)と、与謝蕪村・円山応挙・長沢芦雪ら同時代京都画壇の優品を併せて展示。若冲の野菜・果物への愛着と、同時代画家たちの詩情豊かな世界を堪能できる機会です。
この機会に、修復された《果蔬図巻》の本来の美しさを、ぜひ御覧ください。
長沢蘆雪展

東京の府中市美術館で行われる「長沢芦雪展」。こちらも大興奮の展覧会ですね。江戸絵画の中でも屈指の人気を誇る奇想の絵師・長沢芦雪の大規模展!!
2023年に大阪で生誕270年という事で大規模展が開催されて大盛況だった展覧会。その後、2024年に福岡でも開催されてこれまた大盛況だったという事で関東勢からしたら歯ぎしりをしていた待望の展覧会が今回、東京初開催という事で開催されます。代表作のジャンピングタイガーこと虎の襖絵も登場!!
こちらは公式Xで展覧会までの舞台裏をこまめに発信されており展覧会に対する熱量を感じるので期待大な展覧会。是非お楽しみください。
トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで

東京の三菱一号館美術館で行われる「トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで」。
浮世絵というと江戸時代に花開いた一大ポップカルチャーですが、そこに陰影法・・・光と影の表現が本格的に取り入れられたのは明治時代に入ってから。その代表的な絵師が小林清親。「光線画」と言われるその作風はこれまでの浮世絵表現とは一線を画す淡くポエミックな作風。
その後、浮世絵は西洋の印刷技術の勢いに押されて衰退してしましますが、木版画技術を一級品のアートレベルにまでバキバキにレベルアップさせて出来上がったのが新版画。小林清親からさらに進んだ光と影の表現による新版画は日本のみならず海外でも高い評価を得ています。
今回は清親から新版画を代表する絵師、吉田博・川瀬巴水らに至る風景版画の流れを、スミソニアン国立アジア美術館のミュラー・コレクションによって辿るという事なので是非お楽しみください。
元禄! 師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開

東京の静嘉堂@丸の内で行われる「元禄! 師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開」。
菱川師宣にスポットを当てた企画展。菱川師宣は「浮世絵の祖」と呼ばれる人物。葛飾北斎や歌川広重がいなかったら浮世絵の歴史は変わっていたかもしれないが、菱川師宣がいなかったらそもそも浮世絵は生まれていなかったかもしれないとまで言われる程の人物。
菱川師宣はそれまでは本の挿絵に限られていた木版画の浮世絵を絵単体のペライチ、単体化にした人物。
そんな菱川師宣の画業を多角的に紹介する展覧会。庶民の暮らしを活写した、長大で華やかな絵巻「十二ヶ月風俗図巻」や代表作である「見返り美人図」や「歌舞伎図屛風」など名品をご紹介。是非、菱川師宣ワールドを堪能してください。
幽霊・妖怪画コレクション かく・みる・愛す、ばけもの絵(仮称)

福岡市博物館(予定)で行われる「幽霊・妖怪画コレクション かく・みる・愛す、ばけもの絵(仮称)」。
飽くまで予定ベースの展覧会ですが妖怪画にスポットをあてた企画展。福岡市博物館は妖怪画のコレクションを相当数所蔵しています。
今回は近世絵画を中心に儚く美しい物からコミカルで可愛いものまで、多種多様なラインナップの幽霊・妖怪画約100点を展示。魅力的なばけものの「絵」と、その絵を描いた/みた/コレクションした人々の姿を紹介する内容となっておりますのでこちらも是非お楽しみください。
竹久夢二 時代を創る表現者

東京国立近代美術館で行われる「竹久夢二 時代を創る表現者」。
竹久夢二は明治の終わりから昭和のはじめにかけて活躍したアーティストになりまして「大正ロマンの寵児」として愁いを帯びた瞳の夢二式美人が人気のアーティストになります。型にはまらない独特でモダンで可愛らしくデザインチックでもある作風が特徴的です。
そんな竹久夢二の大回顧展が行われます。
注目作品は代表作である「黒船屋」。夢二は恋多き男として有名すぎるのですが代表的な3人の女性がいます。たまきさん、彦乃さん、お葉さん。その中で最も愛した女性が彦乃さんと言われています。
黒船屋はそんな彦乃さんが結核で入院し、彦乃さんの父の反対で会いたくても会えない中、彦乃さんへの思いを重ねてその心境を込めて描いたと言われている作品。通常であれば竹久夢二伊香保記念館で毎年夢二の誕生日の前後1週間のみ公開されてきましたが約40年ぶりに館外で展示されるというまたとない機会ですので是非この機会をお見逃しなく。
こちらの展覧会は静岡市美術館(2027年1月23日〜3月28日)、大阪中之島美術館(2028年予定)、その他でも巡回する予定でありますので乞うご期待。
妙心寺 禅の継承

大阪市立美術館で行われる「妙心寺 禅の継承」。
妙心寺は京都の由緒正しき仏教寺院。その歴史は古く数々の名宝を所蔵している事でも有名。今回はそんなお宝を一挙大公開の企画展。
注目作品は狩野山楽・山雪師弟の作品群。狩野山楽は本来は狩野永徳の画力を受け継ぐ絵師とまで言われた実力を持っていましたが戦国の世の運命のいたずらにより、戦国の世の運命のいたずらにより、江戸狩野が徳川派で栄えたのとは対照的に、京都で京狩野として活動することとなりました。いわば狩野派のB面絵師。ただ、実力は本物であり、2025年に東博で行われた大覚寺展ではその存在感をあらためて多くの人に見せつけました。
今回はそんな狩野山楽の代表作である「龍虎図屏風」が展示されます。龍の肌のゴツゴツ感はかなり手の込んだ描写で表現しているらしいので必見です。
もう1点の注目作品は狩野山楽と弟子の狩野山雪の合作と言われている「梅花遊禽図襖」。こちらは現在では山雪の筆が主体とみる説が有力です。
狩野山雪といったら代表作「老梅図襖」が有名ですがあの梅のグニャグニャとした特徴的な幹の動きがこちらの「梅花遊禽図襖」からも感じ取る事が出来ます。狩野派のB面として屈折した感情を表現しているとも言われるこの独特な幹の動きを堪能できる機会を是非お楽しみください。
開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」

東京国立博物館で行われる『開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」』。
大徳寺は京都を代表する仏教寺院。後醍醐天皇が「日本において比類なき禅の道場」と名付けた事からもそのすごさが伝わってきます。
歴史的に見ても室町時代に五山十刹制度から距離を置き、ガチの禅勢として活動し、今の茶道のスタートとなる侘茶の創始に深くかかわった古刹中の古刹。
そんな大徳寺には数多くのお宝が所蔵されている事が有名ですがそれらを一挙大公開するという企画展。情報はほぼまだ何も上がってきていませんが東博が2026年の秋に行う特別展という事で何も心配する事はないくらい期待大な企画展。今後の情報公開に注目です。
下村観山展

東京の東京国立近代美術館、和歌山の和歌山県立近代美術館で巡回される「下村観山」展。
下村観山は近代を代表する屈指の技巧派と言われた日本画の巨匠。
「近代日本美術史上、最重要人物」と言われる思想家・岡倉天心と苦楽を共にした超コアメンバー四天王の一人。残りは横山大観、菱田春草、木村武山。
育ちも良く、温故知新なその優美な作風は今なお多くの人々に愛されています。
しかし、個性的な横山大観や菱田春草の陰に隠れて正当な評価がされているとは言えなかった下村観山。今回はそんな下村観山を主役に迎えた関東では13年ぶりとなる待望の大回顧展。重要文化財《弱法師(よろぼし)》はじめ150件を超える名品を展示し、観山芸術の核心に迫ります。
生誕150年記念 木村武山 展、没後110年 日本画の革命児 今村紫紅

そんな下村観山の関連展としてご紹介したいのが茨城の茨城県天心記念五浦美術館で行われる「生誕150年記念 木村武山 展」と神奈川の横浜美術館で行われる「没後110年 日本画の革命児 今村紫紅」展。
岡倉天心の超コアメンバーの一人である木村武山も下村観山と同じく必ずしも大観や春草ほどには知られてこなかった絵師。そんな木村武山の生誕150年を記念して約50点の木村武山作品を二期に分けて紹介する展覧会。壮麗な色彩の仏画が多い木村武山の魅力を堪能できるまたとない機会となっております。
今村紫紅は四天王からすると後輩世代に当たる人物で日本画の革命者とも言える人物。「日本画がこんなに固定観念で凝り固まってしまっていてはどうしようもない。壊せば誰かが作ってくれる。僕は壊すから君たちは建設してくれたまえ」といった趣旨の発言が伝わる通り、型破りな表現の作品を残した今村紫紅。残念ながら35歳で夭折してしまったその画業を初公開作品を数多く含む約150点で辿る展覧会がこちら。伝統を重んじた下村観山との対比としても楽しめる企画展になっておりますので是非こちらもどうぞ。
まとめ

