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五爪の龍: 加藤智 「赤龍」 / 新作
古来より龍は神仏の化身・守護神として大変尊ばれてきた。
中でも 五爪の龍 (五本の指の龍)は古代中国では皇帝だけが権威の象徴として使用することが出来た龍であり、
最高の力を持っているとされている。
五つの爪 でしっかりとつかまれた宝珠は何でも願いが叶い、大いなる運気を引き寄せ、八方睨みは迫り来る厄災を打ち払う。
新作| 加藤智 「 五爪の龍 (赤龍)」
本作品は日展の審査員も努められた経験のある日展会員 加藤智 の「五爪の赤龍」である。
加藤智の師匠は昭和に最も活躍した日本画家の一人である奥田元宋。
「元宋の赤」といわれる独特な赤色が特徴とされる。
神奈川県横浜市にある大聖院には、奥田元宋の代表作である「赤龍」の天井画がある。
奥田元宋の妻・龍子が大聖院の鷲尾住職の大叔母にあたり、龍子の七回忌の供養のために、名前に因んだ龍を「赤」で描き、奉納したものである。
この時、元宋の弟子達は元宋の描いた赤龍のまわりに花を描き、あわせて奉納した。
加藤智もその一人で、特に奥田元宋に深い関わりを持った弟子としてこの赤龍には特別な思い入れがある。
2012年は、奥田元宋が亡くなって迎える初めての辰年であった。
その年の初めには東日本大震災があり日本全体が暗い雰囲気で包まれていた。
加藤智は燃えるようなこの赤が全ての疫災を打ち払う願いも込めて、師と同じ「赤龍」を描く決意をしたという。
初めて描いた 赤龍 の発表展示会の様子。(2012年)
以降、加藤智は好んで赤龍を描くようになり、今では自身の代表する作品のひとつとなっている。
通常の作品は4本の爪で描かれる加藤智の赤龍であるが、今回は特別に 五爪の龍 で描いていただいた稀少な作品である。
作品のより詳しい写真は下記のページからどうぞ。