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仏像 にはどんな種類があるの? 如来、菩薩、明王、天部・・・その違いとは?
1世紀にガンダーラで 仏像 が誕生した時代の崇拝の対象は釈迦如来像だけでした。しかし、人間は多様な願いを持つため、個々の願いを叶える仏が次々に考え出されていきました。文殊菩薩を学問の仏、弁財天を芸能の仏とする信仰は、そもそも人間の欲望から来るものだったのです。
阿弥陀如来は人々を極楽浄土に導く仏として、極楽往生を願う人々に広く信仰されました。日本では通常は阿弥陀如来像、釈迦如来像に病気を治すご利益のある薬師如来像を加えた三体の 仏像 が最も権威のあるものとされています。
仏像 の四つの区分
仏像 はその役割によって如来像、菩薩像、明王像、天部像の四つの区分に分けられます。
如来像
最も尊い仏とされ、釈尊のように真理に到達した、悟りを開いた仏が如来とされます。釈尊が悟りを開いた後の姿が基本なので服装は衲衣 (のうえ) 一枚と下半身につける裙 (くん)のみ。一切の欲から離れているため、装飾品はつけておらず、簡素な姿で表現されます。ただし、大日如来は装飾具をつけています。この理由は大日如来は宇宙そのものの存在を装身具の如く身にまとった者として、特に王者の姿で表されたからではないかとも言われています。(諸説あり)
釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来、毘盧遮那仏 (びるしゃなぶつ)、大日如来 など
菩薩像
菩薩とは悟りを求めて修行するものを意味し、悟りを求めつつも仏の行いを実行することで、全ての生き物の救済をするとされます。その姿は出家前の釈尊(古代インド貴族の姿)がモデルで、様々な装飾具を身につけ、華やかな姿が最大の特徴となっています。髪を高く結い上げ、冠や飾り、長いスカートのような裙と、条帛(じょうはく)という長い布を身につけています。私たちに馴染み深い菩薩は多く、あらゆる願いを叶えてくれる観世音(観音)菩薩や、子供を導いてくださる地蔵菩薩などがそれにあたります。
観世音菩薩(観自在菩薩)、弥勒菩薩、普賢菩薩、文殊菩薩、地蔵菩薩 など
明王像
明王は、神秘的な力を持つ真言(真実で偽りの無い言葉)によって、如来の教えに従わないものたちを教え、導く役割を持っているとされ、天台宗、真言宗の密教ではこの明王を仏の分身とします。燃えさかる炎を背に、髪を逆立てた憤怒の形相をしていますが、その中にも慈悲の心を宿しています。宝剣など武器を持ち、服装は菩薩とほぼ同じですが、宝冠は被っていません。通常、明王は天部の上位におかれます。
不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王、孔雀明王、愛染明王 など
天部像
天部の仏は、もとはインドのバラモン教などの神でしたが、仏教が広まる中でそのような神々が仏法を身につけることによって、その体に宇宙の真理を宿し、仏法の守り神になったとされています。寺院の中には、天部の仏を単独で祭るお寺も見られます。また釈迦如来などの有力な仏を本尊とするお寺が、本尊の守り神として天部の仏を合わせて祭ることもあります。甲冑をつけて兜をかぶり、武器を手にしている「神将」と中国貴族のような服装をした「貴顕天部」に大別されます。仏教に帰依した女神もいたり、種類も様々で、姿も性格もバリエーションに富んでいます。
梵天(ぼんてん)、帝釈天(たいしゃくてん)、四天王、毘沙門天、大黒天、弁財天、吉祥天、金剛力士、十二神将 など
掛軸の歴史について知りたい方はこちらの動画をどうぞ