ニュース/ブログ
表装行程
表装裂の選定・決定
本紙の主題に相応しく、本紙を引きたてる取り合わせの表装裂地を選定する。寸法取りは織り目の方向や切り継ぎをしたときの模様の合いかた、縮みなどを考慮して行う。
02 本紙の肌裏打ち
「裏打」とは補強のために糊を使い紙、絹、裂地に和紙を貼ることである。用いる和紙は本紙の状態や目的に合わせて選択する。
本紙の支持となる紙を、本紙の裏面に直接貼り付ける裏打ち作業を「肌裏打ち」と言う。この作業では比較的薄く締りのよい紙が使われる。紙本の肌裏打ちには水状の薄い糊を用い、絹本にはやわらかいペースト状の濃い糊を用いる。
本紙の裏面から湿りを入れてよく伸ばしておく。肌裏紙の裏面に糊を付け、掛竹に掛けて持ち上げ、本紙の裏面にのせながら撫刷毛で撫で付ける。
03 表装裂の肌裏打ち
表装裂地の裏面にも薄く締りの良い紙で裏打をする。この作業では職人は裂地の紋様がゆがまないように気をつけなければならない。
04 仮張り・乾燥
肌裏打の工程で、本紙は湿り気を帯び、伸びた状態にある。仮張りに張り込むことで、乾燥に伴う収縮によって本紙や表装裂地は平らになる。仮張りに張り込んで乾燥させることで本紙と表装裂地の応力を調整し、掛軸に仕立てた時のバランスを取る。
裏打 VTR
切り継ぎ(付回し)
本紙と表装裂地を継いで、掛軸として一体化にする作業である。本紙は仮張りから剥がして正確な矩形に断つ。本紙と表装裂地を新糊で張り合わせて掛軸の体裁に整える。
切り継ぎ、付廻し VTR
06 中裏打
二度目の裏打を「中裏打(増裏打)」と言う。本紙と表装裂地の厚みや腰の強さなどのバランスをとる為に行う裏打である。
07 裁ち合わせ
断ち合わせとも書く。中裏打の後で、掛軸や巻物などを寸法に合わせて切り整える作業。
08 耳折り
端折りともいう。掛軸の左右の縁を裏面に向かって一分から一分五厘程折り返す作業。折り返す幅は掛軸の大きさにより異なる。付廻しの後、総裏打を施す前に行う。
09 総裏打
最後の裏打を「総裏打」と言う。本紙に負担をかけずに掛軸を巻き納める為に、掛軸の裏面を平滑に整える裏打である。
左右の寸法を決めて断ち、断ち口に糊止めをし、3~5mm程裏面に折り返して接着する。この作業、または折り返した部分を「耳折り」という。
上端に八双袋、下端に軸袋を付ける。
草裏打ち後、上端の巻き納めたときに外側になる部分には裏巻絹を打つ。下端の左右には軸との付け際を補強する為に軸助けを貼り付ける。
10 仕上げ
掛軸の上端に八双、下端に軸を装着する。八双に風帯を縫い付け、カンを打ち込み、掛緒と巻緒を付けて仕上げる。
仕上げ VTR