【展覧会予習】「日本画革命」展 @ 福田美術館 in 京都

 

福田美術館は京都嵐山にある美術館で、2019年にオープンしたばかりの新しい美術館になります。

 

新興美術館という事でPR活動やコレクション拡充にも精力的に動かれている勢いのある美術館です。

2023年1月28日からスタートする「日本画革命」展は近年拡充してパワーアップした近代~戦後にかけての日本画コレクションをお披露目する展覧会。

福田美術館が自信をもってお届けする展覧会をより楽しめる予習情報を今回はご紹介いたします。

 

 

横山大観と菱田春草

横山大観は「近代日本画壇の大巨匠といえば彼をおいて他はいない」と言える程の存在。

横山大観

横山大観

 

明治時代から戦後まで活躍し、数々のレジェンドと作品を生み出してきたまさに「近代日本画の生き字引」。

そんな横山大観に自分よりも天才と言わしめた絵師がいました。

それが菱田春草です。

菱田春草

菱田春草

 

そんなスゴイ絵師なのに一般の知名度はそこまで高くないのは何故か?

それは夭折してしまったからなのです。

明治44年、大正を迎える事なく36歳の若さでこの世を去ってしまった残念過ぎる絵師が菱田春草なのです。

今回はそんな天才二人の夢のコラボである対巾の掛軸「飛泉」。

菱田春草と横山大観 飛泉

(左)菱田春草と(右)横山大観 「飛泉」

 

明治時代になり西洋画の影響を受けて変革を求められていた当時、横山大観と菱田春草が取り組んだ表現が俗にいう「朦朧体」。

東洋画と西洋画を分かつ大きな特徴である線による表現を排し、色の濃淡やぼかしを巧みに用いて対象を表現する手法。これにより目に見えない空気や光を表現しました。

保守的な当時の日本画壇からは受け入れられず苦労を重ねながらも二人は励ましあいながら精進しました。

この作品もそんな時に描かれた作品と考えると感慨深いものがありますね。

 

前田青邨、小林古径、安田靱彦

以前、日本美術院の作家世代別分類という動画を製作いたしました。

 

その中で第三世代…横山大観たちの後輩世代にあたるのが「院展三羽烏」と言われた 前田青邨、小林古径、安田靱彦です。

基本的には歴史画を得意とした三人ですが、今回はどんな作品が展示されるのか楽しみです。

個人的には前田青邨に期待しています。

なんせ2022年の東京国宝展で見た唐獅子図には「なんてパンチのある唐獅子図を描くんだ!!」と衝撃を受けましたからww

前田青邨 唐獅子図

前田青邨 唐獅子図

 

前田青邨さん、楽しみにしております。

 

東山魁夷

東山魁夷は戦後を代表する日本画家で「国民的画家」と呼ばれた人です。

すごいですね、ヒーロー的存在だったのですね。それだけ愛されていたという事でしょう。

確かに東山魁夷の描く風景画にはどこか心をそっと包み込むような不思議な優しい魅力があり、心を癒してくれます。

青色の表現を独自の感性で追及し、「青の画家」と呼ばれた東山魁夷の美しい風景画は必見です。

東山魁夷「緑の朝」

東山魁夷「緑の朝」

 

青ばかりに注目される東山魁夷ですが実は緑も深みがあり美しいです。

東山魁夷「緑の園」

東山魁夷「緑の園」

 

そして個人的に一番気になる作品がこちらの「夕月」。夕日に染まる山々とうっすら浮かぶ月を描いたこの作品。

東山魁夷「夕月」

東山魁夷「夕月」

 

東山魁夷は戦前・戦後の5年間は魔の暗黒時代で父、母、弟を亡くした上に父親の莫大な借金を抱え込み、さらには日展では落選。

まさに失意のどん底に陥っていた東山魁夷。そんな彼が復活を果たすきっかけとなった伝説の作品「残照」。

この「夕月」はどことなく「残照」っぽい!!

これは気になる!!

「残照」は見れないかもしれませんが「残照」っぽい作品で雰囲気を感じまくりたいですww

以前、東山魁夷の生涯について動画をまとめておりますので美術展前の予習に是非どうぞ。

 

 

奥田元宋

先ほどご紹介した東山魁夷のライバルとも呼ばれていた日本画家が奥田元宋。

「青の魁夷」に対して「赤の元宋」と呼ばれ、多種多様の赤を用い、時に情熱的に、時に神秘的に風景を描いた作家。

本当に不思議なもので「赤ってこんなに色々な表情を見せるんだな~」とつくづく感じさせられます。

普通、「情熱的な」とかそういった激かったり明るかったりっていう印象を赤には抱くのですが、奥田元宋はきっちりと神秘的な赤や静寂の赤も表現しているのがさすがです。

今回の「山雲紅樹」は「やや幻想的な明るい赤」のような印象。実物を見ての印象が楽しみです。

奥田元宋「山雲紅樹」

奥田元宋「山雲紅樹」

 

加山又造

現代の日本画壇のビッグ3と言える美術団体が日展、院展、創画会。

創画会は戦後に出来た美術団体でより実験的な表現を目指しているのが特徴です。

この創画会を舞台に戦後の日本で活躍した日本画家が加山又造。

この加山又造への私の印象は猫、龍、琳派の3つです。

猫は加山又造が好んで描いたモチーフでシャム猫が凛とした姿で描かれているのが人気です。本人もかなりの猫好きだったとか。

龍に関しては天龍寺の法堂の天井画の龍が代表作の一つとして有名です。

これは私も2022年の夏に実際に見に行きました。迫力が凄すぎて龍に飲み込まれそうな錯覚に陥った程、衝撃的でした。

宜しければそのレポ動画がありますのでご覧ください。

 

最後の印象は琳派ですね。琳派は江戸時代に人気だった画派で豊かな装飾性を特徴としてます。

豊かな装飾性をもう少しかみ砕いた言葉で言うと「デザインチック」と表現したらわかりやすいですかね。

イラストや意匠のようなデザイン的感覚に富んだ表現が琳派の特徴になります。

こういった琳派の特徴を現代的に解釈して実験的な表現をした作品を多く残したのが加山又造です。

代表例としては星野リゾートのホテルのロビーに描いた作品。

今回は果たしてどんな作品が待ち受けているのか楽しみです。

 

総括

今回は福田美術館で行われる「日本画革命」のポイントを予習情報としてご紹介いたしました。

明治以降に生まれた「日本画」がどういった変化をしていったのかを知る事が出来る良い機会だと思いますので是非足を運んでお楽しみください。

 

 

CEO Message

あなたと掛軸との懸け橋になりたい


掛軸は主人が来客に対して季節や行事などに応じて最も相応しいものを飾り、おもてなしをする為の道具です。ゲストは飾られている掛軸を見て主人のおもてなしの気持ちを察して心を動かす。決して直接的な言葉や趣向ではなく、日本人らしく静かにさりげなく相手に対しておもてなしのメッセージをおくり、心をかよわせる日本の伝統文化です。

その場に最もふさわしい芸術品を飾り、凛とした空間をつくりあげる事に美を見出す・・・この独特な文化は世界でも日本だけです。

日本人が誇るべき美意識が詰まった掛軸の文化をこれからも後世に伝えていきたいと我々は考えています。



代表取締役社長
野村 辰二

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会社概要

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商号
株式会社野村美術
代表取締役
野村辰二
本社
〒655-0021
兵庫県神戸市垂水区馬場通7-23
TEL
078-709-6688
FAX
078-705-0172
創業
1973年
設立
1992年
資本金
1,000万円

事業内容

  • 掛軸製造全国卸販売
  • 日本画・洋画・各種額縁の全国販売
  • 掛軸表装・額装の全国対応
  • 芸術家の育成と、それに伴うマネージメント
  • 宣伝広告業務
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