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月刊日本美術展覧会情報2024年2月編
目次
源氏物語 THE TALE OF GENJI
日程: 2/24-3/24
エリア: 東京
場所: 東京富士美術館
https://www.fujibi.or.jp/exhibitions/3202402241/
源氏物語は平安時代中期に成立し、1000年以上にわたり愛されている長編小説で、天才女流作家・紫式部の代表作です。源氏物語はその後、絵画化され『源氏絵』という日本美術の人気ジャンルを生み出しました。今回の展覧会では、各時代に描かれた様々な源氏絵を紹介すると共に、源氏物語のあらすじも随所に織り交ぜ、物語を理解しながら源氏絵を楽しめるように工夫されています。
紫式部の生涯をまとめた動画はこちら。
生誕300年記念 池大雅—陽光の山水
日程: 2/10-3/24
エリア: 東京
場所: 出光美術館
池大雅は江戸時代中期、18世紀の京都で活躍した絵師で、南画を大成させた人物です。
中国にはかつて北宗画と南宗画という二つの画派があり、それぞれが日本に伝わりました。
北宗画は雪舟や狩野派によって室町時代に人気を博しましたが、江戸時代に入るとマンネリ化し、そこで南宗画が注目を集めるようになりました。
日本にはそもそも中国の文人文化が存在しなかったため、南宗画の理解と日本への適応には時間がかかりましたが、その過程をまとめ上げたのが池大雅でした。
日本の山海
日程: 2/27-6/2
エリア: 東京
場所: 松岡美術館
日本は自然豊かな国であり、古くから山と海は画題として多くの芸術家によって取り上げられてきました。
この展覧会では、山と海に焦点を当てた風景画の傑作が紹介されます。
特に、山をテーマにした作品では、富士山を描いた名品が数多く展示され、江戸絵画の狩野常信、近代の橋本雅邦や下村観山、戦後の横山操など、さまざまな時代の富士山を比較することができます。
海をテーマにした作品では、特色ある青色で人気の竹内栖鳳の『晴海』や、寺崎広業、池上秀畆などの優品が揃っています。
紅白梅図屏風
日程: 2/2-2/27
エリア: 静岡
場所: MOA MUSEUM
この展覧会は毎年梅の季節に合わせて行われ、MOA美術館の目玉作品である尾形光琳の「紅白梅図屏風」を展示します。
尾形光琳は琳派の第二の巨匠として知られており、彼の最高傑作とされるこの屏風はデザインと写実の両方の極致を融合させた傑作として評価されています。
琳派は江戸時代に大流行したデザイン性を重視した芸術家集団で、その魅力をこの展覧会で存分に味わうことができるでしょう。
時をとらえる ―大観の朝焼け、春草の夕暮れ
日程: 2/10-3/24
エリア: 長野
場所: 水野美術館
日本人は古くから季節感だけでなく時間感を大切にしてきました。清少納言の「枕草子」における季節ごとの時間帯の描写は、この感覚の重要性を物語っています。
本展覧会では、そんな時間感を大切にした様々な作品が展示されます。
特に注目すべき作品は西郷孤月の「月下飛鷺」で、夜の暗闇に月明かりの下で孤独に飛ぶ一羽の白鷺が描かれています。
この作品は、西郷孤月の名前にある「孤独な月」をしっかりと表現しており、ポエミックな雰囲気が漂います。
西郷孤月は横山大観や菱田春草と同世代の絵師であり将来を嘱望されながらも、素行の悪さから寂しい人生を終えた画家。
しかしその実力は確かで、今でも根強い人気がある画家です。
「村上隆 もののけ 京都」展
日程: 2/3-9/1
エリア: 京都
場所: 京都市京セラ美術館
現代を代表する日本のアーティスト、村上隆はワールドワイドで活躍し、その奇抜な作風が注目を集めています。
実は彼のルーツは日本画にあり、東京芸術大学出身です。
この展覧会は国内で約8年ぶり、そして東京以外では初めての大規模な個展となります。
特に注目すべきは、江戸時代の京都で活躍した絵師たちへのオマージュ作品が登場することです。
岩佐又兵衛の『洛中洛外図屏風(舟木本)』、俵屋宗達の『風神雷神図屏風』、曾我蕭白の『雲龍図』など、歴史的な名作に対する現代的な解釈が見どころです。
円空 ─旅して、彫って、祈って─
日程: 2/2-4/7
エリア: 大阪
場所: あべのハルカス美術館
江戸時代初期に活躍した僧侶であり仏師の円空は、修行の一環として旅をしながら仏像を彫り続けました。
一説によると、彼が彫ったとされる仏像は12万体にも及ぶと言われており、現在までに発見されたものは約5000体です。
この展覧会では、初期から晩年にかけての約160体の仏像が展示され、円空の既存の型にとらわれないユニークな造形や、粗い彫りによって生み出される抽象彫刻のような表現、そして愛らしい表情が特徴的な仏像を鑑賞することができます。
そのゆるキャラのような可愛らしさは、多くの人々を現代でも魅了しています。
狩野芳崖、継がれる想い―悲母観音からはじまる物語
日程: 2/6-3/17
エリア: 山口
場所: 下関市立美術館
狩野芳崖は幕末から明治にかけて活躍した絵師で、近代日本画の父であり、狩野派のラストジェネレーションの一人です。
彼がいなければ近代以降の日本画の歴史は大きく変わっていたかもしれません。彼の作品は次世代への礎となり、特に代表作であり不朽の名作である『悲母観音』は、聖母マリアを意識して描かれた仏画で、西洋画の技法を巧みに取り入れた革新的な画風が特徴です。
もう一つの代表作『仁王捉鬼図』も、この展覧会で深く掘り下げられます。この作品は、距離感と豊かな色彩を江戸時代までの仏画に見事に取り込んだ傑作として知られています。
生誕270年 長沢芦雪
日程: 2/6-3/31
エリア: 福岡
場所: 九州国立博物館
この展覧会は2023年に大阪の中之島美術館で行われた大人気展覧会の巡回展となっています。
江戸時代中期に京都で活躍した奇想の絵師、長沢芦雪の大規模展示会で、彼は水墨エンターテイナーとして知られています。
代表作である切り裂きドラゴンとジャンピングタイガーが描かれた『龍虎図襖』は、この展覧会の見逃せないハイライトです。
長沢芦雪の他の作品も魅力に満ちており多くの見所があります。