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法印、法眼、法橋
昔の掛軸などの作品の落款によくある「法橋 〇〇」という文字。
「法橋」というのは特定の苗字ではなく、絵師に与えられた位でした。
もともとは僧侶の位であり、僧侶の位には三つの主要な位がありました。それが絵師にも与えられたのです。
一番高い位が「法印」で、これは金メダルに相当する最高の位でした。次に銀メダルに相当する「法眼」、そして銅メダルに相当する「法橋」がありました。
しかし、法印に昇進する人は非常に少なく、1~200年に一人程度のペースでした。法眼になれる絵師もごくわずかで、法橋にさえなるのは狩野派の絵師でも難しいものでした。
なぜ僧侶の位を絵師に与えたのかというと、中世の時代には、絵師が御所で絵を描くことがありました。そのような高貴な場所には誰でも入れるわけではなく、身分の高い人しか許されませんでした。
そこで、絵師にも高い位を与えなければならないということになり、僧侶の位を授けることで、絵師も高貴な場所に入ることができるようにしました。僧侶は御所に入ることが許されていたため、絵師を僧侶として仮に出家させ、法眼や法橋といった位を授けることで、その場で絵を描くことができるようになったのです。
こうして、絵師に与えられた位は名誉あるものとなり、後には「法橋」という位をもらえたらすごいことだ、というように名誉として扱われるようになりました。