花鳥画を得意とする三宅和光には珍しい「滝」を画題として扱った作品だが清々しい風が吹き抜けていくような心地の良さを感じ取る事が出来る。画面右上と左側に僅かに描かれた岸壁でそれとわかる白布の滝は縦長の構図を上手く利用し滝の高低差を感じさせている。

本作品の興味深い所は滝のみの描写でも作品として成立する中で、さらに近景に青い楓葉と二羽の小鳥を描いているところである。この描写により主題は背景の滝ではなくなるのだが、近景に焦点を寄せつつも背景の滝がうっすらと目に入る事からどこからか滝が流れる音が聞こえてくるような感覚を味わえる。小鳥の会話に耳を傾けるも良し、滝の轟音に涼を感じるも良しの味わい深い作品である。