勢至菩薩は、仏教における菩薩の一尊。阿弥陀三尊の右脇侍で、仏の智門を司り、衆生の菩提心を起こさせる。智慧の光を持って一切を照らし衆生が地獄・餓鬼界へ落ちないように救う菩薩。日本では、勢至菩薩が単独で信仰の対象となることは極めて稀で、多くは阿弥陀三尊の脇侍として造像された。観音菩薩が宝冠の前面に化仏を表すのと対照的に、勢至菩薩の場合は水瓶を付けることが多い。来迎形式の阿弥陀三尊では、観音菩薩が蓮台を捧げ持つのに対して、勢至菩薩は合掌する姿で表される。本作品では単独で合掌する形で仏画の名手・田中慎吾によって描かれている。きめ細かい描写までしっかり描かれている所が人気の所以であろう。