一年の多くを雪で覆われた姿は日本のシンボルとしてよく知られ、多くの芸術家達を魅了してきた。立山、白山と並ぶ日本三代霊山のひとつである。特別名勝・史跡であり、2013年6月22日に世界遺産に登録された。ユネスコによると富士山は「何世紀もの間、芸術家や詩人に感銘を与え、巡礼の対象としてあり続けた」と評されている。
本作品は東韶光によって描かれた富士の作品である。非常に簡素に描かれているが、日本画は簡素になればなるほど表現が難しくなると言われている。背景にうっすらと金彩を施し、富士の神秘的な姿を引き立てているのがさすがである。山肌の雪の表現もシンプルだが洗練されており、絶妙な位置に力強く描かれた木々が作品に緊張感と力強さを与えている東韶光の傑作である。