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表現技法
絵画材料と技法には密接な関係があるが、日本画は描く対象に合わせて材料や技法を巧みに使い分けることが出来る。
鉤勒(こうろく)
描く対象の形態を輪郭線でくくる描法。輪郭線の内側を彩色で充填させる事を鉤勒填彩という。没骨法と共に花鳥画の代表的な画法の一つ。
没骨(もっこつ)
描く対象を、輪郭線(骨法)を用いずに墨や彩色の濃淡で表わす技法。その画法は花鳥画の技法として広く知られている。
垂らし込み
画面に絵具や墨を塗り、濡れているうちに他の絵具をそこに垂らし加え、絵具の比重の違いを利用して自然のにじみを得る没骨画法の一つ
付け立て
下描きや輪郭線を用いず、筆致のふくらみや勢いを活かして墨や絵具の濃淡で対象を表現する技法。没骨画法の一種。
ぼかし
塗った絵具に水を加えて濃淡の調子を表す技法。グラデーション。
毛描き
人物の毛髪部分、特に生え際、鬢、眉、ひげなどに極めて細い線を描くこと、または描かれた線。鳥獣の毛などにも用いられる技法。淡墨から濃墨の線を引き重ねたり、対象にあった色彩の絵具を用いて細い面相筆などで描く。やわらかくふっくらとした趣を出す。
霞
霞や雲は日本の湿潤な風土を表すとともに画面を構成する要素として重要な役割をもつ。山水画においては雲霞を描くことで遠近や、山の高さを表現する。また一連の画面の合間に雲霞を描き、場面の転換や時間の経過を暗示させる事もある。
墨流し(マーブリング)
溜めた水の表面に墨を数滴落とし、表面張力によって浮かび広がる墨の模様を和紙や布帛で吸い取って染める技法。マーブル状の模様などができる。水彩絵具でも、同様の効果が得られる。
参考図書
日本画用語事典 : 東京藝術大学大学院 文化財保存学日本画研究室 [編]
日本画に関わる幅広い情報が写真と図解で懇切丁寧に解説された絶対的な参考書。出版はなんとあの東京藝術大学。明治時代になり西洋画に対して生まれた日本画の歴史の中で切っても切れない存在である東京美術学校が今の東京藝術大学であり、その歴史に恥じる事のない内容となっています。総監修はなんとあの故・平山郁夫画伯、監修は院展でも大活躍中の田渕俊夫画伯(東京芸術大学名誉教授、日本美術院理事長)。
内容は基本的には用語事典なのですが、それだけにはとどまらない道具の扱い方や制作方法などにも言及している唯一無二の日本画百科事典と言っても過言ではない内容です。
第1部 日本画
第一章: 日本画
伝統的な日本の絵画、日本画の流派
第二章: 素材
基底材、顔料、接着剤、金属材料、染料、媒染剤、墨
第三章: 道具
筆・刷毛、硯、印、その他の道具
第四章: 表現技法
第五章: 模写
模写の目的や特集、手法・種類・技法、これからの模写の方向性
第2部 表装・文化財修理について
第一章: 表装
掛軸、巻子、屏風、冊子
第二章: 文化財修理
特集文化財修理事例
第三章: 裂
第3部 保存科学
第一章: 光学調査
第二章: 文化財の保存環境
第4部 古典絵画の研究
実例の詳細な解説10点以上
正直な感想としては「よくここまでこれだけの情報を1冊にまとめたな…」という圧巻の内容に恐れ入ります。恐ろしい程の労力と熱意をこの本から感じ取ることが出来ます。もちろん内容も非常に表具師としても参考になりますし、いち日本画ファンとしても大変勉強になる内容です。
もしご興味あられる方は是非ご購入いただければと思います。日本画に関わられている方にとってはバイブルと言っても過言ではない存在かと思います。
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素材 | 表現技法 | 歴史 |