ニュース/ブログ
長安義信 「恵比寿・布袋 二神図」の掛軸修理依頼 | 赤穂市
長安義信 は兵庫県の赤穂市を代表する江戸時代の絵師。その実力は朝廷にも認められた程で赤穂市を中心にそのエリアには数多くの作品が残されています。以前赤穂市の北に位置する上郡町のお客様からご依頼いただいた虎の掛軸の修理をした記事をご紹介させていただきました。
今回は別のお客様で赤穂市にお住いのお客様より長安義信の掛軸修理のご依頼をいただきました。
今回お預かりした作品はこちらです。
長安義信 作 「恵比寿と布袋」
長安義信 の晩年の作品なのですがそれを感じさせない非常に勢いのある筆致で描かれている作品です。しかし作品の状態は非常に悪く劣化がかなり深刻な状況です。全体的な折れもひどいですが恵比寿の左側や布袋の顎の辺り、牛の頭部の部分などに欠損が見受けられます。
こういう欠損のひどい作品を仕立替する際は細心の注意が必要です。掛軸の仕立替を行う際には必ず旧裏打紙を除去しなければならないのですが作品の状態があまりにひどい場合、本紙の裏側にある肌裏紙を除去しようとすると本紙が肌裏紙にひっついてきて破損してしまう場合が往々にしてあります。また前回の裏打の際に使用されていた糊が非常に濃い糊を使用している場合などにもこういった症状はよく起こります。その他、本紙が破れたり欠損しているような場合、旧裏打紙を除去するとその周辺の部分は非常に脆い状態にあるので作業中に無くなってしまう場合もあります。ボロボロの作品を仕立替する際に多くの表具師を悩ませてきた症状なのですが、これを防ぐ為の方法として編み出された特殊な方法を使い今回は仕立替を行いました。
修復後
全体的な折れが無くなり、欠損部分も補彩により違和感が無くなりました。作品に本来の躍動感がよみがえりました。
納品
お客様も出来栄えを気に入ってくださり、早速お客様のマイ・ギャラリーであるお床に飾ってくださりました。様々なコレクションをお持ちのお客様なのですがお気に入りの一巾として今後も飾って楽しんでいただけるようです。
今回はご主人の方からの仕立替のお仕事だったのですが、こんどは奥様の作品の掛軸表装依頼をお預かりいたしました。阿弥陀三尊仏を自身で描かれたそうなのですが力のこもった作品です。いつも弊社にご依頼くださり本当にありがとうございます。
弊社は遠方の方でも出張相談承っております。掛軸の修理、修復、仕立替でお困りの方は是非弊社までご相談ください。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。